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2015年03月04日01:00

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『ら (KEPT)』

『ら (KEPT)』

 婦女暴行事件では、加害者から解放されても真の解決には至らない。
実際に拉致事件の被害にあったという水井真希監督のデビュー作。
園子温に師事し、西村喜廣の下で映像制作を学んだというだけのことはある。
重苦しいテーマと内容を処女作に選ぶあたりに志の高さを感じる。

 タイトルの『ら』とは『拉致』の『拉』。
ある夏の夜、一人の少女が暴行拉致されることから話は始まる。
全く持って理不尽極まりない犯行と言わざるを得ない。
激しく抵抗し相手を興奮させれば何をされるかわからないという恐怖心から、劇中のような反応は自然なことで、事を荒立てたくないという心理も一定の理解は得られよう。
だが、それでは終わらない。

 そんな深層心理を体験者ならではの想像力を膨らませて描いている。
加害者の動機の軽薄さよりも被害者が背負い続ける闇の深さと長さに気付かされる。

 ヒロインまゆか役を元AKB48メンバーだったの加弥乃が熱演。
「わー」とか「キャー」などテレビドラマなどで見られる安っぽい反応と違う点にリアルさを覚える。
加害者の男に不気味さが足りないのが惜しい。
それと時折見せる段取り臭い箇所が気になったが、ファンタジックな心象表現のシーンは映画らしさを感じさせていた。
特殊効果は一目で西村喜廣とわかるタッチで、ファンは納得するのではないか。

 こうしてみると水井真希監督がこの映画を作ったのは必然だったのかもしれない。
拉致からの解放は体よりも心の方がずっと難しいのだろう。
わずか70分とは思えない見ごたえがあった。

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3月7日より公開
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