『
さらば、愛の言葉よ』
三つ子の魂百までとはよく言ったもの。
80歳を超えたとはいえ、
ゴダールはまだまだトンがっている。
ゴダール初の3D映画として話題を呼んでいるが、いかにもゴダールらしい作品に仕上がっていると思う。
『勝手にしやがれ』で既存のウェルメイドな手法を否定して世間を驚かせた彼だからこそ思いついた発想じゃないか。
誤解を恐れずにいえば、
映画作りの<禁じ手>ばかり選んでいる。
会話や音楽がブツ切れになるのもお構いなしの編集。
コマとびしてもへっちゃら。(無論、意図的なものだが)
加えて3D表現で左右別の画像を使ったりして頭の中がおかしくなりそう…。
並の監督なら映画の内容を分かり安く伝えるために装置の存在を意識させない方法を考えるのだろうが、まるで逆なのだ。
(
映画史上初めて3Dで見ないと成立しない作品かもしれない。)
それ以上に困惑させるのはストーリーか。
人妻と独身の男、元夫、犬くらいしか登場しないのに詩的・哲学的なセリフの応酬なのでスンナリとは頭に入ってこない。
おそらくシンプルなストーリーラインだとは思うが、一度見てわかる人は少ないのではないか?
(私なんぞは何度見てもわかる気がしないが…。苦笑)
だが、これがつまらないかと聞かれたらそんなことはない。
断片的に積み重ねられた映像はとても刺激的。
(もっとも間口は極めて狭いだろう。)
章立てで進行する話で、タイトルにも“メタファー”とあるようにその印は見られる。
卓上の花瓶にしおれた花が活けてある箇所はあからさまな方だろう。
やたらと裸のシーンが多いのや言葉を話せない犬に「何を言わせようとしているのか」といったあたりに想像力をかき立てられる。
ウンチしながらウンチク垂れ流しのシーンなどは思わず吹き出しそうになった。
ちなみに出演しているウェルシュ・シープドッグは本作で見事に
パルムドッグ賞審査員特別賞を受賞したそうな。
余談だが、鑑賞後に悪口雑言を吐き捨てるように出て行かれたお客さんがいたが、その人(たち)の好みは推測がつく。
そういう<面白さ>を求める人には向かない作品であるのは間違いなかろう。
ログインしてコメントを確認・投稿する