『
マップ・トゥ・ザ・スターズ』
「僕自身、ハリウッドに執着したことは一度もないし、映画作りを題材にした作品は、近親相姦的なイメージがあって意識的に避けてきたんだ」と語る カナダ人映画監督デヴィッド・クローネンバーグがブルース・ワグナーの脚本を得て、初のアメリカ撮影で挑む恐ろしくも滑稽な<近親相姦>を扱う物語。
ハリウッド映画には『サンセット大通り』や『マルホランド・ドライブ』など内幕を描いたケッサクも多い。
本作は、さながら
ハリウッドを舞台にしたギリシャ悲劇だろうか…。
星に願いを掛けるがごとく、おのぼりさん状態のアガサ。ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム巡りをするあたりまではノンビリと見ていたが、何やらひと癖ある人間関係や業界人たちのドロドロした怨念が噴出するあたりからクローネンバーグらしいゾワゾワする快楽が始まる。(笑)
生意気な子役、ステージママ、怪しげなセラピー、エゴと女王様気分…。
映画産業に限ったことではないだろうが、大きな力を持つ業界にはありがちな闇やタブーを存分に皮肉る。
中心人物たちは、親の因果で心に重荷を背負っている。
しかも重荷から解放されるためなのか、
親の人生の一部を<リメイク>しようとする。
この辺の病的な描写がクローネンバーグの心を捉えたのだろうか。
自分が脚本を手掛けていないためか、比較的分かり安く描かれていたように思う。
カメラアングルや編集など、不快感を増すような演出はさすがという印象。
随所にみられる映画業界の雑学や人物に馴染があるとさらに楽しめるのではないか。
とりわけ本人役のC・フィッシャーには一瞬思考停止に…。(苦笑)
かつてのクローネンバーグ作品ほどあからさまなグロテスク描写は少ない気がするが、それは(大きな権力を持つ)
業界自体がすでにグロテスクだということなのだろうか。
本作で世界三大映画祭すべての女優賞をゲットしたジュリアン・ムーアと『イノセント・ガーデン』での怪演も記憶に新しいミア・ワシコウスカの“狂演”に痺れる。
ログインしてコメントを確認・投稿する