『
バンクーバーの朝日』
フリーパス第3弾
オーソドックスな映画。予想通りというべきか。
日本からブラジル移民した開拓団の苦労話はよく題材に取りあげられるが、19世紀末から戦前にバンクーバーにこれほど渡っていたとは…、まして現地で日本人による球団まで設立されていたとも露知らず無知を恥じる。
その球団『バンクーバー朝日』を通して語られる、日本人差別と排斥との戦い。
おりしも第二次世界大戦の足音が聞こえようかという時代。
いかに真面目に低賃金で働いてもろくに評価されなかったという“差別”などはさして珍しくはないが、それでもなお夢を失わずに苦境と戦う姿には共感するものがある。
非力なものが大きな体や力を持つものに打ち勝つには工夫が必要だというのも何やら置き換えができそうだ。
何と言っても栃木県足利市に建てられたという当時のバンクーバーを偲ばせる広大なオープンセットが見もの。美術にはかなり力が入っている。
キャストは邦画界が誇る人気どころが集結している。
野球をするシーンがあるので、多少なりとも経験のある俳優を集めたのだろうか…、要所要所ではそれなりに様になっていると感じた。
しかし、比重はスポーツものじゃなく、成長物語。
ヘタレなレジー笠原(妻夫木聡)が自信をつけたり、無鉄砲なロイ永西(亀梨和也)が自制心を身に着けたり…と。
ただ『舟を編む』の石井裕也監督にしては、少し凡庸に思えた。
特に展開を追うだけの前半は予告で見知った情報と重なることも多いため何らかの工夫が欲しかった。
後半に入り幾分持ち直したのが幸い。
一番印象に残ったのはレジーの妹エミー(高畑充希)のスピーチか。
フジテレビが製作に絡んでいるが、バンクーバーの日本人酒場の名前に<富士>とあったのは歴史的事実なのか<お遊び>なのか。(笑)
映画の出来はさておき、なぜ今この映画を作ったのかが大切に感じられた。
もしかしたら
戦前になってしまった映画の舞台と、“戦前”になりかねない現在を重ね合わせているのじゃないか。
ところで些細なことだが、当時の自転車のブレーキはロッド式だったんじゃないのかな?
カナダではワイヤーを使ったケーブルシステムは普及していたのか?…少し疑問に思った。

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