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2014年07月27日23:58

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トーク「三宅 純×白井 晃 音楽と舞台のイメージメーカー」

『Lost Memory Theatre』開幕まであと一か月足らず。
現在どんな状況なのか少しでもお話が聞けるかと、
三宅さんと白井さんのトークに行って来た。
日時:2014年7月26日(土)14:00-15:30
場所:21_21 DESIGN SIGHT
http://www.2121designsight.jp/program/image_makers/events/140726.html

一番前に陣取ったので、至近距離からお二人を拝見出来た。
お二人ともほぼ黒尽くめのシックな服装。
ジャーナリストの生駒さんがテンポよくお話を振り、
開催中の「イメージメーカー展」作品に言及しながら、
主に三宅さんが活動について語り、白井さんがそれを補足する感じ。

トークは撮影されていたようだし、
近日中にトークレポも公式サイトにアップされるようなので、
https://www.facebook.com/2121DESIGNSIGHT/posts/740871065965170
完璧なレポはそれを待つこととして、
とりあえず頑張って書いたメモを頼りに、ざっと流れを記しておく。

【三宅さんは短パン好き】
パンツ丈は短めが好き。(この日も七分丈)
グードさんもそうで、初めて会った時、お互いのズボンを指さして、
笑いあって、すぐ仲良くなった短パン仲間。

【曲作りは直感的でとても速い】
白井さんの証言によれば、
一緒に仕事をするようになってから、一曲に対してかかるのは一日。
二日にまたがったのは一回だけ。

【パリを拠点にした理由】
コラボレーションしたい人たちが海外に多く、
会うために移動に費やす時間がもったいないから。
最初はNYに居たけれど、1995年に離婚して、8歳の娘を引き取って、
もう少し大人になるまで環境を変えないため、10年待つつもりで、
その間にブッシュ政権になり、9・11(ナインイレブン)も起きて、
今はNYに住む時期ではない、と。
出来るだけ地続きの場所が良いし、
せっかくなら食材やワインがおいしいところが良いし、
考えたらフランス人の友人が多かったので。

【今回のイメージメーカー展感想】
三宅
「まだ音響に納得がいってない。
この建物は反響を計算して作られていないから」
白井「ここで話してても気持ち悪いくらい音が回り過ぎる」

【ピナ・バウシュについて】
*参考映像として『ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』
ヴィム・ヴェンダースンダース監督作品(2011年)の一部が流れた。
http://pina.gaga.ne.jp/top.html
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ちなみに私はこの作品を公開当時、映画館のロードショーで観ているけれど、
予告にも使われている印象的な「Lilies of valley」が三宅さんの曲だとは、
当時全然知らなかった。この時三宅ワールドを体験してたのか〜
今見ると、ひたひたとした水の上で踊る白いドレスのダンサーの場面から、
ヴォイツェクの池の場面を連想してしまう。
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三宅
「ピナは言葉は少ない。ぽつっと一言いうくらい。
人を見通すような目をしていた。
一年かけて身体表現をして、音楽は最後までついていないことが多い。
「Lilies of valley」という曲は、実は自分でつけた名前ではなく、
とある女性歌手のために作っていたメロディーだったけれど、
途中でふっとアート・リンゼイの声が聞こえてきて、それを言ったら、
それを企画した人まで「そのほうがいいね」と言われて。
で、ちょうどピナの楽団の音楽監督が遊びに来ていたので、
デモテープを聞かせたら興奮して、「これ預かってっていいか」と。
後になって使われていることを知った。
タイトルが必要と言われて、先方でつけてもらった。
僕は曲はすぐ出来るけれど、タイトルは決められない」

【白井さんと三宅さんの出会い】
白井
「15年か、20年近く前、資生堂のCM、15秒くらいのを観て、
ん?誰の曲?今の何?と吃驚して。
メロディーラインもメロディ進行も日常的なものと全然違う。
空間を切り裂くような音だった。
で、CMディレクターに確認して、それが三宅さんの曲だとわかって、
いつか一緒に仕事がしたいと思っていた。
7〜8年前、ブレヒトの「三文オペラ」をやるときに初めてお願いした」

【生活のリズム】
三宅
「曲作りは特に昼とか夜とか関係ない。
毎朝泳ぐので、その時。また歩いている時。
人と会っている時にふいに浮かぶこともある。
音を集中してたくさん入れる時もあるし、何も入れない時もある。
放電するために、夜中に散歩する」

白井「二度ほどご一緒しました」

三宅
「朝泳いで、夜歩いて、最初と最後だけ健康的。
あとはただれた生活(笑)」

白井「パリは歩いていると美しい建築などもたくさんあるから」

三宅「でも東京も良いです。ここも綺麗」(と、窓の外の緑を見る)

白井
「とにかく泳ぐ施設がないと来てくれないんですよ。
 今度の兵庫県立芸術文化センターの時も、ホテルにプールがなくて。
 でも探したら近くに市民センターのプールがあるから、そこで良いって。
 とにかく朝は20分くらい泳いでいて、夜は散歩、というのは
 だいたい時間を把握しているので、それを避けて連絡するようにしてます」
*(ここのくだり、まるで遠距離恋愛の恋人同士みたいで笑ってしまった)

【KAATでの公演を決めたいきさつ】
白井
「演劇人として、文学情報だけではなく、空間芸術に興味があって、
スーパーバイザー就任後初めての公演を持つのに、
シェイクスピアを持ってくるとか、誰かに新作を書いてもらうというのではなく、
ここ7〜8本三宅さんと共同作業していた流れからどうしても離れられなくて。
企画会議でもずっと三宅純さんの名前ばかり言ってたので、
よっぽど好きなんだね、と言われた(笑)
まったくのオリジナルで、まず三宅さんの音楽ありき、
その音楽の舞台化をやりたいと」

三宅
「聞いた時は、なんて素晴らしい話なんだ、と。
でもそんなこと引き受けてくれるところはないんじゃないか、とも。
禁断の領域ですね。
言葉で限定してしまうのは、僕にとっていけないことなので。
そこのバランスをどうとるか」

白井
「百の台詞より二小節の旋律の方が心を動かすこともある。
そういう時、言葉ってむなしい。
三宅さんの音楽、そこから僕が勝手に浮かんでくるものを、
役者、ダンサー、歌手、ミュージシャンでかたちにしてゆく。
ミュージシャン11名。ダンサー5名。
三宅さんが生演奏するのは初めてです」

三宅
「自分が出ることは普通ない。
作るときは引きで見て、俯瞰で感じる。
自分で行くとどうしても欠落するものがある。それを避けていた。
ただ、これは自分が出ないと、それがコア(核)の舞台だから」

白井「三宅さんが出ること込みの話ですよ」

三宅
「あろうことか、脚本がない。
シノプシスを書いちゃったんですよ、この僕が。
構成、台詞まで書いちゃった。
お互い感じてるだけだから、壊すために必要なんです。
今度はそれを忘れてゆくことにプロセスが変わった」

白井
「シノプシスを基に、応酬というか、キャッチボールしながら、
俳優、ダンサーに、こういう感じで一回やってみて、と言いながら、
どんどん削ってゆく。
今、3分の2くらいですが、ぶち壊しに入ってます」

三宅「一方的に壊してます」

白井「現場は大変」

三宅「覚えたら、次の日にはなくなってる」

生駒
「ラボというか、実験場みたいですね。
 先が見えないことがわくわくする?」

三宅
「そういうことがどきどきする。僕は猛獣使いを目指していた。
コラボレーターも猛獣だと思う。
表現しないと死んじゃうような人ばかり。普通の人ではありえない
グードはポップな猛獣だし、ピナは静かな猛獣だし、
アート・リンゼイは天使と悪魔」

白井
「三宅さんも猛獣ですね。
僕もわくわくしてる。めちゃくちゃ楽しい。
あ、今思いついた。これちょっとやってみて、とか。
普通は合理性を求められるけど、やってみないとわからない」

【影響を受けた人】
白井
「17〜18歳の時、寺山修司にあこがれて、
大学1年の時に映画のエキストラに出ました。
でも劇団に入る気はなかった。みんな丸坊主だし、怖そうだし。
30歳になる前に観た、ピナ・バウシュの『カフェ・ミュラー』と『春の祭典』。
それからマギー・マランの『メイ・ビー』。
これはベケットの『ゴドーを待ちながら』を取り入れてるということもあるんだけど」

三宅
「…それは、人には教えてはいけないひとつのこと、です。
一人答えたら、みんなその人を思い浮かべちゃう」

白井「そう、一人だけ選ぶのってむつかしいですよね」

【今後のことについて】
三宅
「一番近いところで言えば、来月『Lost Memory Theatre ACT2』が出ますが、
ACT2でもやり残したことがあるので、ACT3で完結を目指します。
これはライフワークですね」

白井
「僕は書き手ではない演出家だけれど、劇場が箱になり、
いろんなアーティストがもっと混じれ、もっと混じれ、
もっとごちゃごちゃになったら面白い、と思ってます」

「三宅さんとがっぷり組んでやるのは初めてなので、
是非今度の公演を目撃してほしい。
三宅さんが生演奏するのは、2年前のピナの追悼の時くらいで、
パリに住まれてからは日本で生演奏されたことはないんです。
毎日変化する舞台になると思います。
何度も来てシークエンス的な見方をするのも良いですよ」

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