『
私の、息子』
親離れ出来ない子供と子離れできない親。
どうにもやるせない気分しか残らないが、今のご時世とルーマニアというお国柄をよく表しているのか。
溺愛した一人息子の尻拭いはいつまでするものなのか?
最初に甘やかした時点で、死ぬまでしなければならないのか?
シングルマザーと暮らす息子のバルブは、すでに30代半ばになる“立派な大人”。
だが、いまだに将来の進路を決められずに親の世話になりっぱなし。
そんなある日、息子は交通事故を起こしてしまう。
明らかに息子に非があるにも関わらず、金とコネでどうにかしようとする母親の恐ろしさと、それを異常と感じない息子…。
この金とコネの関係は、また一方でルーマニアの異常さを示しているということなのだろう。
加害者と被害者の階級の差と、彼らの愛情の差が分かりやすい置き換えになっている。
珍しい設定ではないが、それゆえリアルさを感じる。
冒頭で、母親が息子に言われた小言を愚痴るシーンが、それこそこの<母親像>を見事に言い当てている。
おそらく初めて見る俳優たちばかりだが、母親コルネリアを演じた女優が素晴らしい。
悪事を承知で堂々と渡り歩き、わずかな揺らぎすら感じさせない。
ここまでくれば「あっぱれ」である。
原題の直訳は<胎児のポーズ>。母のお腹で丸くなり守られている状態。
まさにそこから抜け出せない…いや、抜け出さない息子を揶揄しているのだろう。
重苦しい胸糞悪い話の最後にようやく“へその緒”を断つことができたか。
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