『存在しない南』@
イタリア映画祭2014
家族と一口に言ってもウマが合うのと合わないのがいても不思議じゃない。
もちろん、仲がいいに越したことはないが必要以上にべったりは時にはシンドイ。
兄ピエトロにとらわれている妹グラツィアがいる。
ドイツに旅立ち亡くなったと聞かされても、納得いく説明がないままでは信じられない。
それもそのはず、夜ごと夢で生きている姿を見るのだ。
隠し事をしている父親と距離を置き、男っぽい身なりで学業にも身が入らない妹は居ても立っても居られない。
兄の捜索に必死すぎてトラブルになったりもするのだが、そんなことはお構いなし。
囚われた過去とキチンと向き合うこということが今年のイタリア映画祭のテーマであるかのように、ここでも繰り返される。
一家は乾物タラを水で戻したものを売って生計を立てている。
イタリアの市場の様子がちらりと見えるがなかなか興味深い。
タラの身は日本とは違って、包丁でさばくというより包丁を鉈のように使ってぶった切る。
あたかも死体をバラバラに切断しているようで、どこか暗示めいている。
兄の死因の謎がミステリー要素として引っ張るものではあるが、それほど重要ではないと思う。
問題は過去ではなく、未来だ。
グラツィアは男っぽい身なりをすることで兄へ同化しているのだろうか。
彼氏がまとう(兄を思わせる)赤シャツが親近感を持たせるのは当然かもしれない。
男性かと見間違う中性的ヒロインを演じたミリアム・カールクヴィストが良い。
セリフ以上に作品に意味を与える海の使い方も若い監督とは思えない力量を感じさせる。
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