『
オーバー・ザ・ブルースカイ』
“永遠の愛”を誓いますか?
結婚式の決まり文句。
“永遠の愛”を疑うわけじゃないけど、永遠じゃないから誓いを立てるのかもしれない。
『ブルー・バレンタイン』、再びか!?と思わせる構成。
時間軸を行ったり来たりして、一つのカップルの浮き沈みを描く。
アメリカ発祥のブルーグラス・ミュージックが海を渡り、映画の舞台であるベルギーでも演奏される。
中心人物ディディエはまるで西部劇から抜け出たような自由人。
陽気なディディエは音楽活動でエリーゼと親密になり結果結ばれる。
小さな命を授かりますます順調に思えるが、時に運命は残酷で子供が難病に侵される。
その日を境に二人の関係がギクシャクし始める…といった展開。
難問に直面し、現実的であろうとする夫と、対立する妻の立場の違いは痛いほどわかる。
幸福な過去と不幸な現在とが交錯する演出が先述の『ブルー・バレンタイン』を想起させるが、時間軸の演出を除くと“ありがち”とも思える。
タトゥー・アーティストであるエリーゼが、
自身のボディに刻む<履歴>が一つの伏線として効果を上げている。
終盤のスピリチュアルな展開に少し戸惑うが、美しい作品であることには違いがないだろう。
大切な鍵となるのは<アメリカ>ではないか。
アメリカに憧れ理想郷のように思い描いているディディエにとっては、ブルーグラスを演奏するのも偶然ではなかっただろう。
しかし、その矢先の
難病問題と<9.11>、絶対的だったアメリカ神話が崩壊した瞬間でもある。
そうしたリンクの妙を生かすためにも、音楽活動の決着のつけ方は違った方が深みが出たのではないか。少しメロドラマのほうに足を引っ張られた気がしたのが残念。
ただ確かに音楽は魅力的なのも事実で、生かしたかった気持ちも分からなくはないが…。
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