『
あなたを抱きしめる日まで』
筋良し、芝居良し、カメラ良し、邦題…がっかり、と簡潔にいえばそうなるか。(笑)
実話の映画化は数あれど、これほど皮肉な出来事があったとは…。
疑うわけじゃないけど、本当に本当なの?
正義の皮をかぶった権力に対してカウンターパンチを浴びせる痛快さ。
カトリック教会の厳しい戒律は何のためにあるのか。
そもそも人を救うはずだった宗教が救えないところが一番の皮肉であろう。
ごくありふれた主婦であるフィロミナが不本意な別れをせざるを得なかった息子を訪ねて、50年という時を経てアイルランドから遠くアメリカまでまたにかける旅だが、子を思う母親の気持ちが随所ににじみ出ている。
演じるジュディ・デンチの演技力にはただ舌を巻くばかり。
庶民であるフィロミナと旅に出るエリートジャーナリストを演じるスティーヴ・クーガンはプロデューサーと脚本も兼任という多才な面を見せる。
読書の趣味も信仰面も隔たりを見せる二人だが、次第に距離が縮まってゆく様に心和む。
元は歴史好きな彼が、内心嫌っている三面記事的な事件に巻き込まれつつも、やがては歴史にたどり着くという着地点も実話とは思えないほど良く出来ている。
これ見よがしなところがなく、肩肘張らない自然な演出を心がけたスティーヴン・フリアーズ監督(『クィーン』)の仕事ぶりはお見事!
神は信じられなくとも人は信じられるという構図も素晴らしい。
ただ、邦題はミスリードだよな。(苦笑)
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