『
かぐや姫の物語』
日本人なら誰もが知っているであろう「竹取物語」。
それを題材に丁寧にマジメに“
心を込めて”ジブリの高畑勲が14年ぶりにメガホンを取った。
『ホーホケキョとなりの山田くん』で見せた水彩のタッチをさらに発展させたような、まさに動く絵本といった趣。
これだけで見る価値は十二分にあるのではないか。
我々がよく知る「竹取物語」のイメージと多少違うかと思わせるのは、成長過程の描写であろうか。
自然の中で心から打ち解けられる仲間とのふれあい、たとえ貧しくともかけがえのない日々を送っていたことは人生の糧となっているに違いない。
かぐや姫が人生の転機ともいえる<
現状を甘んじて受け入れる>ところの作画は見応えある。
常々、
高畑さんは同じジブリの“あの方”よりも構成や整合性に優れていると思っている。
(もっとも“あの方”はそれらを放棄しているらしいが…)
美術を担当された男鹿和雄の余白を生かした繊細なタッチ。
過剰にならない控えめさがシンプルながら味わいを残す。
現代を生きる者にとっても突きつけられる<自己のアイデンティティ>の相克に、今の社会へのアイロニーが塗り込められたストーリーは高畑監督の観察眼を見るようだ。
丁寧すぎてやや中だるみも感じるが、地道な積み重ねがあっての終盤の加速はさすがの一言。
ジブリといえば声優に俳優やタレントを起用することでも何かと物議をかもし出すが、やはり今作でも俳優やタレントを起用している。しかし高畑作品にはその手の違和感を感じたことがない。
アフレコではなくプレスコという手法も手助けしているのだろうか。
高畑芸術、一つの到達点。
(翁役の地井武男さんにも是非とも完成を見届けて欲しかったと切に願わずにはいられない。)
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