ラテンビート映画祭2013
『ダヤニ・クリスタルの謎』
その謎が解けたときに胸が熱くなった…。
ガエル・ガルシア・ベルナルがプロデューサーを手がけたドキュメンタリー。
描かれるのは危険を冒してまで国境を越えて不法労働をしないと生きていけない貧民たちの姿。
ある日、アリゾナで一人の不法移民と思しきヒスパニック系の男性遺体が見つかった。
手がかりになる書類などは一切持たず、どこの誰かは分からない。
唯一、胸に<
ダヤニ・クリスタル>と書かれたタトゥーがあるだけ。
遺体はどこの誰でどういう経緯があったのか…映画はこの謎を追う。
ガエルは彼が通ったと思われる行程を辿って見せ、関係者の証言などから平行して謎を解き明かしてゆくというもの。
美しい風景と共に、隠された彼の人生が徐々に浮かび上がって来る。そこには<かの地>に置かれた人々の厳しい現実が見て取れる。
誰が好き好んで母国を離れ、危険な越境など試みようか。
それでも<アメリカン・ドリーム>を夢見て人々は国境を越える。
いや、国境を越えることこそがドリームなのかも…。
死体から指紋を採取する効果的な手法など、(語弊はあるが)調査方法が興味深く、思わず見入ってしまう。
不法移民の存在なくして成り立たないアメリカの矛盾…それなのに、手を打つ方法が間違ってはいないか?根本解決とは程遠い現実に落胆は隠せない…。
だれもが知っているイソップ寓話に『北風と太陽』があるが、きっとアメリカの政府当事者は誰も読んでいないに違いない。
スター俳優ガエル・ガルシア・ベルナルがなぜこの題材に協力的なのか…などとたずねるのは愚問だろう。
彼らは命を懸けて今日も壁を越える。
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