『薄桜記』BS放送最終回前のスタッフブログ記事（9月20日）で
披露されていた撮影裏話によれば、
全編にわたって印象深い谷中七面社は緑山スタジオに作られたオープンセット。
ただし長い石段は逗子のお寺で撮影されたとのこと。
（最終回の石段のみ雪飾りが困難なため緑山スタジオ内の再現セット）
http://www.nhk.or.jp/drama-blog/1530/131288.html
逗子×寺×薄桜記×撮影で検索して、
この石段は「神武寺」というお寺への参道だと知り、
近いうち行ってみたいなと思っていた。
折よくKさんから鎌倉の旧華頂宮邸（『ステキな金縛り』冒頭の洋館撮影地）の
公開日（10月13日〜14日）に洋館内を見学したあと、
足を延ばして神武寺にも行くから一緒にどう？とお誘いを受けた。
私は数年前に華頂宮邸は見学済みなのでそちらはパスし、
邸の見学をすませて来たKさん&Nさんと鎌倉駅で合流。
横須賀線久里浜駅行きで二つ先の東逗子駅へ。
*（鎌倉から久里浜行きは少ないが、逗子で乗り換えればそれなりに便はある）
東逗子駅の改札はひとつ。
改札口を出て左手にある案内図に、神武寺の大まかな位置も載っている。
http://www.city.zushi.kanagawa.jp/syokan/keizai/kankou/images/hiking/05.gif
改札を出た側ではなく、線路を渡って反対側のほうに進むと
すぐに「神武寺表参道」の表示あり。
傾斜のある車道をゆるゆるのぼってゆくと、
ほどなく右手先に大きな「天台宗 神武寺」の石柱が建っていて、
「神武寺 鷹取山 登山口」の表示板がある。
このあたりはハイキングコースになっているらしい。
http://www.city.zushi.kanagawa.jp/syokan/keizai/kankou/haiking.html
表示板のところから右に折れると、すぐに登山道。
道幅は細く確かに山道だが、ちゃんと整えられていて歩きやすい。
あたりはひっそりとして昔のままの風景。
ここを江戸時代のひとが歩いていても何の違和感もない。
山道に入ると昔取った杵柄というか、山をやってた頃の血が騒ぎ、
ついすたすたと足を速めて、二人を置き去りに進んでしまった。
やっぱり山はいいなあ。人界を離れた心地がする。
やがて趣のある総門が見え、じきに鐘楼も姿を見せた。
それぞれ享保18年（1733年）と安政6年（1859年）に建てられたものとか。
鐘楼の下手、左側に見えるのは客殿。
その境の塀はわりに最近作られた感じの白壁で上に瓦が載っている。
その先で道が二股に分かれ、右手の奥まった谷戸には六地蔵。
こちらかな、とお地蔵さまに向かってゆくと、左手に石段が見えてきた。
ああ、ここだ！間違いない。
やや傾斜きつめの苔むしたような石段。
ドラマのイメージよりは小さい感じだけれど、それは映像マジック。
いままでいろんなロケ地めぐりをしていつも思うのは、
実際の場所はほとんど映像の半分くらいのスケールしかないということ。
位置関係を見るとまさにこの通り。
ここで千春さんが倒れかかり、典膳が抱きとめる出会いが撮られたのだ。
階段の上には古びた朱塗りの楼門（宝暦11[1761]年）がそびえ、
ふっくりと姿の良い燈籠が左右に建つ。
撮影用にちゃんと薄桜記ハガキを持参していたKさんにお借りして、
私も燈籠に愁い顔の典膳さまをあしらって記念撮影してみた。
石段の下、六地蔵の前のあたりは平らに開けていて何もないが、
ドラマの時はここに緋毛氈の床几などが置かれていたんだなあ。
さらに先ほどの客殿との境の白壁塀を眺めたNさんが、
「ここは千春さんが文鳥を拾う場面で出てきたね」と言う。
確かに武家屋敷の外あたりにも見える。
上手いこと使うものだな、と感心。
石段を上がると、境内にひとがいっぱいいたのでちょっと驚いた。
きのこ採集のグループのかたたちだったらしい。
でもこういう催しでもなければ、普段あまりひと気はないのだろう。
境内に寺の由来などを書いた説明板があった。
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『相模国三浦郡神武縁起』によると、
神武寺（じんむじ）は、724年（神亀元年）、
聖武天皇の命によって、行基が十一面観音・釈迦如来・薬師如来を
彫刻し祀ったことがはじまりだといわれている。
その後、857年（天安元年）、慈覚によって中興され
天台宗に改宗された。
『吾妻鏡』の記録によると、源頼朝も崇敬し、
北条政子の安産祈願に神馬が奉納されているという。
また、三代将軍源実朝は、1209年（承元3年）、
神武寺と岩殿寺を参詣したと記録されている。
1590年（天正15年）、豊臣秀吉の小田原攻めの際に
諸堂が焼失するが、1598年（慶長3年）に薬師堂が再建された。
その後、他の堂宇も再建され現在に至っている。
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http://www8.plala.or.jp/bosatsu/jinmuji-zusi.htm
「始まりが3ケタの年号ってすごい！」と感嘆するKさん。
確かにたいへんな古刹なのだと実感。
それにしてもロケハン担当者は、
よくこういう場所を見つけてくるものだと思う。
「かながわ名木百選」のひとつのナンジャモンジャの木はあるものの、
残念ながら境内にも石段の周りにも桜の樹はない。
地図によれば参道の途中に”桜並木”と記されているけれど、
花の季節ではない今はあまりよく分からなかった。山桜だろうか。
ともかく東逗子駅からは、登りが若干大変とはいえ、徒歩15分〜20分。
桜の季節に来て、石段で追想に浸るのもよいかと思う。
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