"Thirty's like Newark Airport.
Hard to get to, but once you're here, fewer delays"
「ニューアーク空港みたいなものさ。恐ろしいほど遠いけど、
辿り着きさえすれば、あとは勝手に運んでくれる」(by マイケル)
"musical theatre is Newark Airport and you're snowed in at Buffalo"
「あなたがミュージカルの世界で空高く飛ぶには、
まずニューアーク空港に辿りつかなくちゃね」(by ローザ)
<ニューアーク空港>
『tick,tick...BOOM!』劇中で何度か耳にする「ニューアーク空港」は、
ジョン・F・ケネディ国際空港、ラガーディア空港と並び、
ニューヨーク市の玄関口の一つ。
他の2空港がニューヨーク州(クイーンズ区)にあるのに対して、
ハドソン川を挟んだ対岸のニュージャージー州にあるにも関わらず、
実は距離的にはニューヨーク市街地中心部に最も近い空港。
ニューヨーク都市圏で最初に開業した空港であり、
アメリカ国内線のみならず国際線も多数乗り入れている。
また航空会社が支払う空港使用料が世界で2番目に高い空港だとか。
マンハッタンからは車で1時間足らずのはずで、
マイケルが30歳のたとえとして「恐ろしいほど遠いけど…」というのは、
ちょっと逆説的にも思えるのだが、
「近いけれど境を越える」というようなニュアンスだろうか。
シーン9、ジョナサンがマイケルを車で送っていく場面で、
「航空会社は?」「デルタ」「あそこだ」という会話があるが、
ターミナルはA、B、Cと3つあり、デルタ航空はターミナルB。
アトランタ、シンシナティ、ソルトレイクシティへの路線があり、
先の場面でマイケルが「明日はアトランタで会議があるんだ」に符合する。
なお、2001年に9/11テロ事件の犠牲者を追悼するため、
従来の名称に「リバティー」が加えられ、
「ニューアーク・リバティー国際空港」となったとのこと。
さて、以下は『ttB』には関係のない余談になりますが…
<ニューアーク方式>
「Newark(ニューアーク)」は「ニューヨーク(NewYork)」の音と
似通っていることもあって、
つい聞き流してしまう人もいるかもしれないけれど、
図書館員としてこの土地名にはちょっとした思い入れがある。
図書館の貸出方式で、借りる時に名前を書いたブックカードが、
本の後ろのほうに貼られたブックポケットに入れられていて、
この本を誰がいつ借りたか貸出履歴が一瞥できるやり方を、
ニューアーク方式というのだ。
この名称は、1900年頃ニューアーク市立図書館で考案されたことによる。
現在は個人情報問題のため、この方式はほとんどなくなってきたけれど、
アニメ映画『耳をすませば』や、岩井俊二監督の『Love Letter』などは、
この貸出方式なしには成り立たない物語だった。
郷愁もあり、個人的には悪いことばかりではない方式だと思っている。
そんなわけでニュージャージー州のニューアーク市という地名をきくと、
図書館の隅のひっそりとした恋物語まで連想してしまう。
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