『
Polytechnique』
フェミニストに歪んだ敵意を抱く男は単純な思考の末、狂気に走る。
『灼熱の魂』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による2009年モノクロ映画。
今は品切れらしいが、つい先だってまでは日本のアマゾンでもブルーレイが買えた。(リージョンはAだが、日本語はなし。)
カナダのアカデミー賞に相当する
ジニー賞で9部門の栄誉に輝いた作品。
しかし日本では未公開のまま終わりそう…(せめてソフトくらいは!?)
実際に1989年12月モントリオールの工科大学で起きた銃乱射事件をモデルにしている。(タイトルは事件の起きた校名に由来。)
学校内での銃乱射事件といえば米・コロラド州のコロンバイン高校でのケースを描いた『エレファント』を想起される人も多いだろう。
確かに、『エレファント』を髣髴とさせるシーンはある。
だが、違いは<
その後>の描き方にあるように思える。
主に3人の人物が描かれる。
犯人の男(名前はない!)と被害者の一人である女子学生ヴァレリ、そしてヴァレリにほのかに思いを寄せるジャン・フランソワ。
いったい親はどんな教育をしたのか、どういう関係だったのか。親子関係に自然と興味はわくものの犯人の背景は深く描かれない。その反面、辛い体験を受けて生き残った人々の“その後”にスポットを当てる…、そこにこそ監督の意思が如実に現れていると思う。
人生は時に重いトラウマを背負わされるが、避けていては生涯闇の中ですごさなければならない。
犯人の抱く妄想の根源である女性の社会進出。かつては男性の聖域と思われたジャンルにもどんどん女性が進出している。個人的には実に結構なことだと思うが、その実ちっとも<平等>になっていないのは多くの人が実感していることだろう。
差別のある社会に未来はないと思うが、どうだろう。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督はこの映画制作とその前に数年のブランクがある。
どうもこの間に
子育てを経験しているらしいが、『灼熱の魂』を含め親子の関係を感じさせるのはそのためかも知れない。
『灼熱の魂』に心が動かされた人なら見る価値はあると思う。
象徴的、示唆的に富んだ画面作りや『灼熱の魂』にも通じる理数系の構築美があるから。
たった77分とは思えない濃密な時間が得られる。
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