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2012年08月20日23:18

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三大映画祭週間2012 『ムースの隠遁』

 三大映画祭週間2012の最後の1本は三大映画祭じゃなく(笑)サン・セバスチャン映画祭からのチョイス。

『ムースの隠遁』

 多様なタッチで魅了し続けるフランソワ・オゾンの2009年作品。
日本で知名度がある監督なのに、なぜか公開が飛ばされた。
サスペンス色もなくコメディでもなく日本でネームバリューのある俳優(カトリーヌ・ドヌーヴやシャーロット・ランプリングなど)も出ていないため興行面を考えたら買い付けに二の足を踏みたくなるのは分からなくはないが、オゾン色は確かに感じる。

 ドラッグの過剰摂取によって愛する男性(ルイ)と死別し、その後身籠ったことを知るムースと彼の弟ポールとの奇妙な関係の物語。
ゲイであることをカミングアウトしているオゾン作品にはゲイの役柄も多い。実際ルイの弟がゲイであり、監督の投影とまでは行かなくとも多少の代弁はしているのだろう。
オゾン映画らしく、ここでも<父の不在>が見て取れる。
身籠ったムースが隠遁する田舎は海辺にあり、海は母なるものの隠喩であろうし、またそこで見知らぬものが訴える内容にこそ彼女の苦悩が潜む。そこから得た彼女なりの答えに賛否があることも承知の上の決意ある結末。
模範的な家族関係の構築から逸脱するということはゲイであるポールとともにおそらくは監督自身のパーソナルな側面から来ていると思われる。
父性とは、母性とは、親になることとはどういうことか…。

 母と子の関係が相似的に語られる構造で、隠された秘密を紐解いたときにルイの母親の言動の真意や弟との関係に変化が現れる。

 ムースを演じたイサベル・カレは本当に妊娠中の撮影だったようだ。
それゆえ自然な体型であるが(笑)、胎教に良かったのか…。
その決意の強さは種類が違っても役柄と重なるようである。

フォト


 あ、そうそう、『三大映画祭週間2012』はヒューマントラストシネマ渋谷での上映は1週間延長されたそうです。(31日まで、タイムテーブルの詳細は未定)
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