『
ドライヴ』
滑らかなハンドルさばき、無駄のない動き。感情を押し殺した表情からは考えが読み取れない。
一目見てこの人物が<プロフェッショナル>だとわかる瞬間。
ブルース・リーや任侠映画がそうであるように、鑑賞後は主人公のドライバーに心酔して劇場を後にしたくなる。
いまやハリウッドの売れっ子となったライアン・ゴズリングが凄腕ドライバーを演じるフィルム・ノワール。
しかし、一般的なノワール物が薄暗く色彩を抑えたトーンで表現されがちなのに対し、これは光に溢れ実にカラフル。それはOPの
ピンク色のタイトルロゴからすでに始まっている。
古典的なハードボイルドの主人公を思わせるドライバーはまるで
西部劇のガンマンでもあるかのよう。銃の代わりにハンドルを握り、無法者であっても弱きを助け、強きをくじく。
徹頭徹尾、ストイックでありながら瞳の奥底に熱いハートをたぎらせている点で共感を覚える。
凄腕のドライバーとムショ帰りの夫との間で揺れ動く女性アイリーンをキャリー・マリガンが人間味たっぷりに演じる。
本作でカンヌの監督賞を受賞したニコラス・ウィンディング・レフンはデンマーク生まれだが、思春期をアメリカで過ごしたらしく、
両方のテイストがうまくブレンドされたような作風に感じる。
それこそが本作をオリジナリティ溢れるものにしているのではないか。
謎に包まれたドライバーが<誰>なのか探す必要はない。なぜならそれは感化されたすべての人のことなのだから。
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