『
戦火の馬』
戦争に勝者はいるのか。
人間の愚かさや優しさを数奇な運命をもって戦場を駆け抜けた一頭の馬の視点で描かれるスピルバーグの感動映画。
時代は第一次世界大戦。いくら戦争とはいえそれだけの根拠で何もかも巻き上げられるのは、確かに理不尽。
だが、随所の演出に疑問がわく。
アニマル・トレーナーの腕前やカメラワークには感嘆することがあっても、どのパートもありがちな演出に思えてならない。これを<正攻法>という捕らえ方も出来るのかもしれないが、どこか深みにかける気がしてならない。
言葉は悪いかもしれないが、「
カタログ映画」の域を出ないのだ。(しかし上等なカタログだが…)
どうにも性急に作られた感じがする。
些細な問題点かもしれないが、英国とドイツの戦争にもかかわらず、英語を話すドイツ人。
普段、非英語圏が舞台のドラマで英語を話していても、いわゆる「吹き替え」として捕らえることが出来るケースは違和感をあまり感じないが、言葉の違いが重要な場合には明らかに不自然。
どちらも人間としてひとくくりで「違いはない」という意味なのだろうか?
第一次世界大戦時は身勝手な人間のために、馬が巻き込まれ多くの不条理な死を遂げた。そのことへの猛省を促すための映画なら結末は違ったろう。
どこまで行っても<所有物>という位置づけでしかない哀れさが感動を半減させる。
馬の芝居や風景の大らかさ、突撃シーンの迫力など見るべき点も多々あっただけに残念。
どうにも私には「馬」が合わない映画だった。

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