『
キツツキと雨』
実は、我が実家は山を持っている。
昔ながらの杉山だ。とはいっても今では二束三文。
安い海外産が入ってきたこともさることながら、現在では山から切り出して町まで運ぶ賃金のほうが売り上げよりも高いのだ。
枝打ちの経験はないが、子どものころ祖父に連れられて、雪解け後の<
杉起こし>に行った経験がある。
そういうこともあり、冒頭からのシーンは郷愁とともに見入っていた。
これはゾンビ映画のロケに訪れた撮影隊と地元の人々の交流を通し、<ベテラン木こり>(役所広司)と<なよっちい新人映画監督>(小栗旬)が互いに感化しながら成長する物語。
二つの<親子関係>が中心に描かれる。
自分のことは見えないというか、他人だからこそ客観視できることもあるのだろう。
互いの仕事に興味をもつことで次第に打ち解けて理解しあうようになるのは、経験がある人も多いのでは?
じっくりとゆるい笑いで、まるで山の雪が解けるように凝り固まった心を溶かしてゆく。
やや類型化された切り替えしによるクスグリや正直意味不明なFO、<向こうの親の問題>など残る疑問もあり、映画の裏方の描写に比べ<木こり>の方の問題点が薄いのが気がかりだが、ホンワカしたつくりはさすが『南極料理人』の沖田修一監督。
大きく枠を飛び出すことはないが、それゆえ安心して身をゆだねられよう。
なに、人生雨ばかりじゃないさ。
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