『
ルルドの泉で』
奇蹟を信じるか?…と誰かに問われたとしても、さして信心深くもない私なぞは眉唾モノなのだが、実際に医者から見離された病が治ったりすると、案外全面否定も出来ない。
もっとも人体にはまだまだ謎が多く残っているので、それが『神の御業』かどうかは議論の余地はあるだろう。
絶望的な状況下では誰もが藁にもすがりたい。
その思いが信仰につながることはなんら不思議はない。
ピレネー山脈ふもとにある<ルルド>という聖地に巡礼に来た一行のうち、クリスティーヌという女性の体に起きた変化から人間の心を写し取った作品ではないか。
実際、描かれる奇蹟と信仰との因果関係はあいまいで、むしろ見るべきは自分と他人を比較して一喜一憂する庶民のひがみややっかみかも知れない。
仕事そっちのけで、色恋に情熱を燃やす介護士やおばちゃんたちの井戸端会議には、
もはや聖地が特別な場所ではなくなっていることを示しているようだ。
客観的といえば聞こえはいいが、説明がほとんどなく距離感を持って極めてシンプルに作られたストーリーは、ともすれば退屈にも映り、大切なサインを見落としてはいまいかと目をこする瞬間もしばしば。
監督の<神>に対するスタンスは熱心な修道女の行く末やクリスティーナの件を鑑みても理解できる気がする。辛らつではあるが温かみを残すラストに<奇蹟>は人間の中に宿ると信じているようだった。
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