『
哀しき獣』
韓国バイオレンス、ここにあり!
『チェイサー』でねじ伏せられたナ・ホンジン監督の新作は、またもやチェイスし続ける“狂犬”の物語。
原題になっている『黄海』とは中国大陸と朝鮮半島の間にある海のこと。
中国領「延辺朝鮮族自治州」という地の歴史も興味深いが、そこに住み続けるというたくましさから今の日本にない力強さも感じる。
『チェーサー』の監督と主演二人(ハ・ジョンウ、キム・ユンソク)が再び組んだと言うのは相性が良いのだろう。世界観にブレがない。
もがけばもがくほど引きずり込まれる男の悲運を描き、まさに第2の『チェイサー』ともいえるのではないか。
ターゲットの下調べを入念にする辺りの描写はウマいなぁと感心する。
主に描かれるのは歪んだ国境問題であり、人種を含む貧富問題である。しかし
一番底にあるのが男女問題とは人間の本質を突くようでなんとも痛烈だ。
ハンディカメラを効果的に活用しながら見るものを圧倒する力量には感服し、カーチェイスも見ごたえあるが、それ以上に<
刃物によるスプラッター表現>が印象深い。
バイオレンスのためのバイオレンスになっていないのは好感が持てる一方、<妻の問題>の落としどころには不満が残る。
また、
真の主役は人々の夢も希望も飲み込む底なしの<黄海>なのだから、この邦題ではなんだか哀しい…。
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