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2010年10月03日21:32

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写真のなかの物語

今まで絵の個展をやった時には、とにかく搬入搬出が大変で、
気を張り詰めてくたくたになったものだけれど、
今回『銚子まぼろし』写真展のセッティングは、
東邦大メディアセンターの方がやって下さり、
おまかせで楽な半面、把握できなくてちょっと心配。
どんな様子だか、先日観に行ってみた。
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/nmc-gallery/07th-higashifumi.html

どきどきしながら会場へ。
図書館の入口にもちゃんと写真展のポスターが貼ってあって、
それだけでなんだかじーんとしてしまう。

吹き抜け部分をぐるりと囲むかたちで、壁の三方に展示。
こぢんまりしているけれど広がりもあって、気持ち良い空間。
理学部らしく動物の骨格の標本なども飾られているのが、
博物館っぽくて面白い。
スタッフのご好意で、感想ノートのような用紙もセットされ、
一口感想が書いてあったのも嬉しかった。
「國民食って何なのか気になりました」という感想があり、
スタッフの方によると、4〜5人から同じことを聞かれたとか。

これに出会ったのも本当に偶然。
近くの古い網蔵を撮影していた時に、
お近くのかたが通りかかって、持ってきて下さったもの。
向かい側にある、缶詰工場だった建物の中で、
戦時中に作られていたという、瀬戸物の保存食の入れ物。

「國民食」という文字と、食品会社の名前、社長名が入っていて、
フタの真ん中には小さな窪み。
「特許真空容器 フタヲトルニハ釘デクボミニ穴をアケ」という文字。
内側にはパッキンがあって、
指示通りフタの窪みに穴をあけると、真空圧で開いたとのこと。
中に煮豆や煮昆布を入れて、戦地の兵隊さんに送ったのだそうだ。
金属が底をついた一時期だけのものだったらしい。
重いから輸送も大変だっただろうに。
「防衛食」とも呼ばれたとか。

綺麗なかたちで残っているのにも驚いたけれど、
なんと見せてくださるだけでなく、
「良かったらどうぞ」と私と友人に一個ずつ下さったので、
これはいま我が家の台所にある。
不思議なめぐり合わせだなあと思う。
せっかくなので、疑問を呈したひとの感想の欄外に、
お答えを書いておいた。

写したひとつひとつの事物、風景にも物語がある。
前期後期で24枚をすべて入れ替えるので、
これが観たい方はお早めにどうぞ。
入れ替え予定は10月13日午後。
一応、展示リストを載せておきます。

(前期)
1. 青空廃屋 
2. 夏草公園 
3. 鋸草   
4. 黒い網蔵 
5. 國民食  
6. 倉庫の中 
7. かもめの窓 
8. 赤い銚子電鉄 
9. 仲ノ町駅 
10. 車両基地 
11. 鉄路コスモス 
12. ランジェリーウインドウ 
13. 復興橋  
14. 公正市民館 
15. 鉢植えと煙突 
16. おしろい花 
17. 丸窓橋  
18. 河童看板 
19. 祭礼日章旗 
20. 板塀バス停 
21. アーケード点々 
22. 霧笛舎  
23. 風雪の窓 
24. ブロック塀の海 

(後期)
1.  靄の中の橋   
2.  ヤマノイモ緑葉  
3.  瑞鶴荘跡    
4.  嵐のあとの海  
5.  海難供養   
6.  太古の記憶
7.  庭の屋号瓦  
8.  本背表紙のようなビル 
9  錆びた門扉  
10. 木造の角   
11 大谷石の塀  
12 田舎娘    
13. 名残の百日紅 
14. 煉瓦塀の小路 
15. 夕暮玄関   
16. 昭和の社宅  
17. 紅玄関    
18. 平成の尊徳像 
19. 赤青縞トタン  
20. 水色トタン   
21. 紅蔦     
22. 木工所前   
23. 樋の錆びあと 
24. 外川駅レール 
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