山本橋（『Mother』第3話ロケ地）

第3話で奈緒の職探しは、なかなか思うようにいかなかった。
あてにしていた大学の教授はすでに退官、情報誌を見て訪ねた会社で断られ、
運送会社の前からかけた電話でも断られ、一日目は惨敗。
二日目、図書館が休館していたため、ホテルの部屋に継美を一人残して、
また職探しに出かけ、橋の上からかけた電話でようやくOKを貰える。
表情が明るくなる奈緒。
ホテルで継美が風邪をこじらせているのも知らずに…

カメラは橋の上から携帯電話で話している彼女の後ろ姿をまず捉える。
画面奥には線路が見え、ちょうど山手線が川を渡るところ。
次に切り返して、反対側から。
あたりには高いビルがたくさん見え、橋の上には人通りもあり、
きちんと整備された街中の橋だということが分る。

http://loca.ash.jp/info/2010/d201004_mother.htm
→ロケ地037
・鈴原奈緒が就職の電話をしていた橋（東京都品川区大崎一丁目）

この橋を最初に見た時、あ、もしかして大崎の近くかな、と思っていた。
あとでロケ地ガイドを見て、やっぱりそうか、と納得。
実は大崎には『パンドラII』のエキストラ撮影で2度行っていて、
鈴木京香さんと北村有起哉さんが「御成橋」を歩くところを見たことがあり、
あたりのビルや橋の雰囲気に似通ったところを感じたのだ。
目黒川には実にたくさんの橋がかかっているけれど、
山手線の位置関係から見ると、候補は簡単に絞り込めそう。
http://maps.google.co.jp/maps/ms?ie=UTF8&oe=UTF8&msa=0&msid=112976517285243521726.0004613a7537fb2b6e334
大体のあたりをつけて、仕事帰りに大崎まで足を伸ばしてみた（8月3日）。

3月のエキストラ撮影で足を運んだから、勝手知ったる改札口。
大崎駅構内は多少入り組んでいて、東口へ出るにはまず北改札を出て
表示に従って東口に出る。
何度か通った大崎セントラルタワーへの階段を左に見ながら、目黒川の方へ。
すぐに上下の赤い色が印象的な御成橋が見えてくる。

ここも将軍がお鷹狩りの際にお通りになったのが名の由来。
ねぎの頭のような擬宝珠もつけられているけれど、つくりは近代的。
桟もメタリックな感じのシルバーで、わずかに外側に湾曲している。
この橋は、澱みがちな川の水に、水流と酸素を送り込むために、
下部のパイプからから定期的に放水しているとのことで、
まさにシャワーのように水がしゃーっと流れているところだった。
暑い中、水の流れる音としぶきは、見ているだけで涼しげ。
将軍でも何でもないのに畏れ多いけれど、御成橋を渡って対岸へ。

山手線は大崎からぐるりとカーブを描いて品川駅の方に向かうけれど、
そちらへのルートは今まで結構歩いたことがあって、様子が知れている。
居木橋だの御嶽橋などがかかるあたりにこういう近代的なビル群はない。
これは五反田寄りのほうだろうと踏んで、川沿いにそちらに歩いてゆくと、
すぐに次なる橋が見えて来た。
桟は御成橋にも似たふくらみがあるシルバーで、上の手すり部分は青。
群青色という感じだけれど、夕暮れが迫って少し暗めにくすんで見える。
かろうじでまだ空に明るみはあるけれど、欄干端のライトがすでに灯っていた。
橋名は「山本橋」。由来は書いてないけれど気になってしまう。

五反田寄りのほう、大崎寄りのほう、と交互に景色を確認したところ、
画面の位置関係から言っても、この橋で間違いないと確信。
ただ、いつもながら距離感が違うことにびっくりする。
橋の桟が画面ではかなり大きく見え、山手線もすぐ近くに見えていたのに、
自分のカメラで撮ろうとすると恐ろしく小さく遠い。
レンズによって遠近感が全然変わってしまうんだなあと痛感。

ドラマではいろんなロケ地を山手線で縫うように繋いでいたなあと
思い返しながら、列車の走りを見ていたら、
もう少し奥手の、山手線の線路より上のほうにも線路があるのに気付いた。
ああ、五反田寄りだから東急池上線か、と思ったあと、
その線の電車がずっと動かないのは何故だろう、ということに思い至った。
止まっているということは、あそこが駅なのか。
…ということは、もうあそこが五反田？！

なんだ、大崎駅より五反田駅からのほうが全然近いじゃないか。
大崎一丁目の住所から、ついつい大崎が最寄りだと思い込んでいたけれど、
橋を渡るともう住所も東五反田となり、五反田ふれあい水辺公園もある。
そのまま進んで前方の「山手線（4）上目黒川ガード」と記されたガードをくぐると、
ホテルロイヤルオークというホテルが見え（これも山手線と共に画面に見える）、
あっけないほどすぐに五反田駅西口のほうに出た。
目黒、五反田、大崎、品川あたりの地形と地名の入り組みの複雑さは、
以前も歩いてある程度理解していたけれど、なんだか化かされたような気分。
帰りは五反田から山手線に乗って帰った。