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2010年06月06日00:06

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ノベライズ本『チェイス 国税査察官』

友人たちにも好評だったNHK土曜ドラマ『チェイス』。
http://www.nhk.or.jp/dodra/chase/
反響は大きかったようで、早々とDVD・ブルーレイ発売が決定し、
ノベライズ本も出ることは知っていたのだが、
今日書店で現物を目にした。

http://www.tvlife.jp/book/issue/chase.php
『チェイス 国税査察官』
作:坂元裕二
ノベライズ:古沢 保
発行:学研パブリッシング
ISBN:9784054046108
四六判・304頁
定価:1365円

ざっと目を通したところ、
やはり実際のドラマとは多少細部が違っている。
ラスト近く、あの母親と春馬との会話は、
薔薇に囲まれた庭での立ち話ではなく、
家の中のダイニングルームになっているし、
村雲は外のベンチではなく、車の中でこと切れている。
ドラマでは、ベンチで動かなくなっている村雲に哀惜の涙を流したあと、
薔薇の花の木彫りに隠された秘密に気付いた春馬が仕事の顔にもどって、
電話できびきびと指示を出しながら踵を返すのに衝撃を受けたのだが、
小説では涙声で情報を伝えたあと、車の中で村雲にしばらく寄りそっている。
かなりウェットな印象。
小説のほうが一般的には読みやすいのかもしれないが、
私としてはシナリオの最終稿を是非読んでみたい。

それはともかく制作者たちのあとがきは、とても興味深かった。
演出・大橋守さんの文にいわく、
”国税査察官が活躍する社会派ドラマと聞けば、
土ドラお得意の経済ドラマ、職人ドラマ、だいたい想像はつく…
と高を括っていた私は、坂元氏から届いた台本に我が目を疑った。
「撮れるものなら撮ってみろ」と言わんばかりのそれは
NHKへの挑戦状、いやドラマへの果たし状だった”

”悪夢。倒錯。異国情緒。エロス。自殺衝動。
法と私怨の間をうつろう主人公。絶望に囚われた犯罪者。
男を幻惑する運命の女(ファム・ファタール)。謎の中国人。
暗黒街の信義。血と薔薇。愛と憎しみ。暴力と死”
というような要素は、50年代のフィルム・ノワールを思わせる壮大なスケールで、
制作現場の誰もが興奮し、皆一様に打ち込んでいったとのこと。

”ぬるいものはいい加減、もうたくさんだろう?
容赦なく面白く、容赦なくヤバイものを、僕らは創りたいし、観たいのだ!”

送り出したあとも、いまなお武者震いが続いているという、
その気負い、興奮、熱気が伝わってきて、いちいち頷いてしまう。
スタッフにもキャストにも愛される、力のある作品は、
観ているこちら側にも確実にそのエネルギーが伝わってくる。
ノベライズ本をきっかけに、またこのドラマに触れるひとが増えると良いなあ。
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