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2010年06月03日23:54

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スタジオパークからこんにちは(ゲスト:野田秀樹)

野田さんがトーク番組に出るなんて本当に珍しいので、
せっかく録画予約して出勤したというのに、
総理辞任騒ぎのため、番組の最初にニュースが10分ほど喰いこんでしまった。
せっかくの機会なのに何てこった!
と後から言っても詮無いことなので、
気を取り直してやや短めとなった貴重な映像を見た(6月2日)。

紹介映像は、唯一のNHKドラマ出演『新選組!』の勝海舟。
勇と平助が初めて勝に会う場面。江口龍馬もなつかしい。
「試衛館っつったらあれだろ?天然理心流だろ」
「お前も、感、化…してやろうか?(笑)」
終始笑ってるけど抜け目ない感じの、つっころびそうな早口の江戸弁。
基本的にいつもの舞台の野田さんの芝居そのまんまで、
この場面を見るといつもにやにや笑ってしまう。面白いなあ。

まずこれまでの野田さんの活動暦。
劇団「夢の遊眠社」を結成したのが東大在学中の1976年。
(あらためて考えたら耕史くんの生まれた年!)
私の野田さん初観劇はその5年後の、遊眠社第16回公演
『ゼンダ城の虜〜苔むす僕らが嬰児(みどりご)の夜』(駒場小劇場)。
もとキャンディーズの伊藤蘭さんが客演で赤頭巾少年を演じ、
本当に瑞々しい舞台で大好きだった。

その2年後、1983年に野田さんの『野獣降臨(のけものきたりて)』は、
第27回岸田戯曲賞を受賞する。
紀伊国屋ホール、本多劇場など、欠かさず観ていたなあ、と
ずらり並んだ公演のリストを見ながら改めて懐かしく思った。

駒場小劇場時代から見始めたことは、ちょっとした誇りだ。
芝居がハネたあと、今はなき駒場の「グリム」という店に行ったら、
野田さんがそこでコーヒーを飲んでいるのに出くわして固まってしまったことも。
『野獣降臨』の映像が少し流れたけれど、
まさしく休むことなく動く身体と言葉遊びの世界。
「今はもうこんなに動けませんけど」と笑った野田さんだけれど、
誰よりも鮮やかで軽やかだった動きは、いまだ目に焼き付いている。

突出した才能を見せた野田さんは、その後岸田賞の選考委員の立場となり、
同じく選考委員だった大先輩・井上ひさしさんと親しくしていたとのことで、
井上さんからいただいた小刀を「宝物」として見せてくれた。
野田さんは鉛筆をつかうひとなので、「これで削ればいいよ」
とご自分が使っていたのを下さったのだとか。
鞘の頭の部分にちゃんと「井上ひさし」と書いてある。
「勿体なくて使えなかったんですけど、お亡くなりになってから、
急に使いたくなって」使っているそうだ。
井上ひさしさんが今この世にいないなんて、いまだに信じられない。

「なにしろ舞台しか知らないので」と何度も繰り返すのが印象的だった。
確かに野田さんは徹底的に舞台のひと。
TVでのリズム、テンポがどういうものか分らない、という戸惑いも、
なんだか分るような気がする。
舞台と言うのは不思議な世界で、たいへんな労力やお金をかけてセットをつくり、
終わればすぐに壊されてしまうはかないもの。
「それは我々の営みに似ているような気がする」と野田さん。
高校時代から演劇に関わり、その世界の素晴らしさと儚さを体験してきたことで、
ものの見方が客観的になっていったのかもしれない。

野田さんの透徹した理性と表現にはいつも圧倒されてしまう。
常に時代にリンクしている脚本家であり、演出家であり、役者でもある存在。
私がずっと見続けたいと思うひとの一人。
とりあえず6月末に観劇予定の『ザ・キャラクター』も楽しみです。
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