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2009年12月03日22:53

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ヘドウィグ・アフタートーク(山本耕史、ソムン・タク、鈴木勝秀、前嶋康明)

12月3日、ヘドウィグ昼公演後に行われた。
舞台上の小道具などが片付けられ、椅子が5客置かれる。
下手側に司会進行役のニッポン放送の女性アナウンサーが座り、
その隣に演出の鈴木勝秀(スズカツ)さん、音楽監督の前嶋康明さん。

激しい舞台を終えたばかりの耕史くん、タクさんはメイクを落としてお着替え中。
その間のつなぎということで、スズカツさんが作品への思い、というか、
役者としての耕史くんへの思いを熱く熱く語ってくれた。

*(註)メモを取りながら聞いていたので、大間違いはないと思いますが、
手が追いつかないので多少の抜けはあるし、
言葉尻は若干違うと思います。ご了承ください。

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・山本耕史さんを主役にされた理由は?

鈴木)今回は、もう何回も観てくださってるかたも多いようだし、
初心者向けではなくマニアックな話をしたい。
耕史くんはもうまもなくメイクを落として出てくると思うので、
しばらくおつき合いください。

彼を選んだのは、何よりもフィジカル(身体的)な強さですね。
あの、トミーになる前、『Exquisite corpse』というのを歌うんですが、
腕をこんなにして(と上下させる仕草)、
あれ10秒でもやってごらんなさい。相当きついですよ。
あの動きを、しかも舞台の後半で出来る。
こんな高いヒール履いてジャンプもする。
もうアスリートクラスの能力ですね。

この芝居は90分くらいなんですが、実は音楽は35分くらいで、
あとの1時間くらいは独り芝居をしてるんです。
だから芝居の部分がとても重要で、普通のミュージシャンでは出来ません。
これは山本耕史なくしては出来ないんです。
役者としての力があって、歌えて、体が使える人でないと。
それが彼は全部出来る。

去年、ジョンが来て、中野サンプラザでライブ形式で一緒にやったんですが、
普通そういう時にご本人が出てくると、打ちのめされるものなんですよ。
でも、彼の場合はオリジナリティ(独創性)が高くなっている。
ジョンはジョンで、山本耕史はこれでいいんだと確信を持ってやってると思う。
この作品は、アメリカ、韓国、ドイツなど世界のいろんなところで演っているけれど、
これはかなりオリジナリティが高い。

ジャンルで言うと彼は俳優だけれど、日本の中でも特別な人ですね。
たとえば『新選組!』からファンになった人がこれを観たら、
誰ですかこれ?と思うでしょう。全然違うものになっている。
来年『ラスト・ファイヴ・イヤーズ』というのをまたやるんですが、
これもまた全然違うキャラクター。今年やったドリアンもまた違う。
どれもが違う、確固たるキャラクターになっている。

僕は世界中のあらゆる役は、一人の人間の中にあると思っているんです。
彼のすごいのは、身体能力だとか、声、演技力、それらを総動員して、
それを必ず見つけること。

この作品は、音楽ライヴなのか、ミュージカルなのかと聞かれますが、
何であるのか一言では言えない。
昔、シアトリカルロックというのがありましたが、それに近い。
(*theatrical rock=ストーリー性、ドラマ性の高いロック音楽)
演劇を超えたジャンル、耕史くんとやるとそれが出来る。
むしろ「ジャンル・山本耕史」というか、
いろんなことが出来るし、可能性が広がる。
オリジナルまでもやりたいと思ってしまう。

もうね、彼をフジロックだとか、紅白なんかに乱入させないと。
誰だ、あれは?どうも山本耕史らしい、と社会現象になるまで盛り上げて欲しい。
皆さんも是非「Koji Yamamoto」というジャンルを盛り上げてください。
僕たちもそれにくっついて行きますから。

・ソムン・タクさんとの出会いは?

あ、これは前嶋さんから教わったんです。

前嶋)日本で耕史くんが初演する前に、一度参考に観ておこうということで、
ちょうど韓国でやっていたから、ソウルのちっちゃいライブハウスに行って、
三回観たんです。日替わりで人が変わって、その一日目が彼女だった。
僕らが観た初回がそうだったんです。で、打ちのめされた!
すごいシンガーがイツァークをやってると。

鈴木)それじゃ呼ぼうよ、という話になって。
二回目の公演の時、何か変化が欲しかったから。
で、来た瞬間、僕も打ちのめされた。

イツァークという役はクロアチア人だから、実は英語がペラペラじゃないんです。
タクちゃんは日本語も英語もペラペラだけど、やっぱり日本人じゃないから、
アクセントやイントネーションにちょっと違和感があるのが、
かえってイツァークのリアリティにつながる。

さきほどヘドウィグは俳優でないと出来ないと言いましたが、
イツァークのほうは、ミュージシャンでないと出来ない。
これはもともとは男の役だったんですね。
でも、音楽のスティーブン・トラスクが高音が欲しいと言って曲を作ったら、
男では歌えなくなっちゃったから、女になったといういきさつがあって、
男と女というヘドウィグの根幹に触れる偶発的な部分です。
イツァークは女なんですが、映画だとひげなんかつけてるんで、
女だって気付かず観てるひともいるくらいで。
僕の演出はあえてひげもつけないし、女であることを隠さない。
これは、ジョンにもOKがとれているから問題はないんですが。
この作品はもっともっと広めたい。
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ここでようやく耕史くん登場。
多分シャワーなども浴びたあとの、さらさら髪、すっきりした顔。
本当についさっきまでのヘドウィグ&トミーとは別人で、
いつ見ても不思議に思う。
白のインナーに銀のペンダント(ハート型だったような)、
細身の黒の上下、ベルトのバックルが大きくて、鼈甲細工のように見えた。
足元は先が細長い革靴。
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山本)こういうふうなヘドウィグについてのトークというのは初めてで、
すごく緊張…してないです。
昼間から盛り上げてくださってありがとうございます。

(今までスズカツさんの隣に座っていた前嶋さん、
さりげなく一番端にズレて、耕史くんのためにセンターの椅子を空ける)

この作品は今回が三回目で、最初は新宿FACEという小さいところでやって、
350名入れるのかな、アングラ的なところでやるのが普通という感じだったのが、
どんどん大きなところでもやるようになって。
これはどんなところでやってもいいし、それこそ外でやってもいいし、
場所を選ばない。
もちろん小さいところと大きいところでは、歩く幅を変えたりはしますが、
基本的には何も変えずに出来る。
どこまででも行ける、無限の作品だと思います。

一回目の時は、自分でやる台本の覚える量としては、大変でした。
いつも覚えてるのとは全然違う。
だいいち、普通台本って縦書きなんですけど、これは全部横書きで。
でも、今回は、驚くような速さで出来ましたね。

鈴木)実質、一日だね(笑)

山本)でもひさしぶりにやった時、自分の台詞で初めて言うのが、
「Thank you、Thank you」なんですけど、
「サンキューサンキュー…」って、そのあとが出てこない。
やっぱり忘れてた。
でも、一度きっかけを思い出すともう全部出てくる。
これはもう自分の言葉になっているから、何年後にやっても出ると思います。
自分にとって、長く付き合った役です。
(ストロー付きのペットボトルの水を飲む)

*このあたりでタクさん登場。

・今日は1時からの公演でしたが、どうでしたか?

タク)1時って、私にとってはほとんど朝なんですね(笑)
どうなるかな?と思ったけど、楽しく出来ました。

・韓国の上演との違いはありますか?

タク)あまり変わらないですね。
今回は日本での二回目で、一回目と二回目に特に違いはないけれど、
一回目よりもっと発展しているのを見せたい。

前嶋)タクちゃん、日本語ペラペラでしょう?
ルーサーは、あれはわざとああいうふうにやってるの?

タク)いや、あれは普通ですよ。

前嶋)でもタクちゃんて、「わたし昨日疲れてバタンキューだった」
なんてことも言うでしょう。あんな言葉どこで覚えるの?

タク)友達から。私には良くない友達がいっぱい居て、そのひとたちから覚えます。

山本)最初にタクちゃんの歌を聞いた時に、
わ、すげぇ!このひととやりたい!と思って、
でも日本語…台詞あるからなあ。
英語だったら、とか色々考えて、会ってみたら、
「おはようございます〜」と入ってきた(笑)

タク)2年くらい前に来日して、日本語勉強したんです。
日本で活躍するためには、日本語出来たほうが絶対良いと思って。

・日本でCDも出してらっしゃいますね。

タク)あんまり売れてないです。

・何か皆さんにおっしゃりたいことは。

タク)歌、聴いてください!歌作って、CD出して、
でも聴いてもらえないとさみしいです。

・会場でも売っているそうです。

鈴木)僕はヘドウィグを拡大してゆきたい。
まあ耕史くん次第ではありますが、
これは年齢に関わりなくずっとやれると思います。
「ジャンル・山本耕史」を広めてゆきたい。
タクちゃんを巻き込んで、お隣の韓国とは縁ができたけれど、
もっと世界に向けて。

日本は経済大国だから、お芝居が日本語だけで成立してしまう。
耕史くん『tick,tick...BOOM!』で、ゲイリーとやったでしょう。
彼が「俺、エイズなんだよ」という台詞、僕はあそこにすごく感動したのに、
皆イントネーションだけで笑うんだ。魂で演技してるのに。
このヘドウィグも、最初全部英語で歌うことに、ずいぶん反発もあったんですが。
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このあたりで、バンドの準備も出来たということで、
トークショーのためにアンコールなしで終わった舞台のため、
私服にもどった二人がアンコール曲を歌うという、珍しい展開に。

「バンドの皆さん、本当に仲が良いんですね。珍しいですね」というアナウンサーに、
「珍しいですか?結構居ると思いますけど」と突っ込む耕史くん。
「皆、黒で合わせてますねー。打ち合わせたわけでもないのに」
確かに皆さん黒い服。そして耕史くんとタクさんも黒。
そんな二人の歌う曲は、やっぱり『Sugar daddy』。
この曲は可愛くて、二人の遊び心満載で楽しいけれど、
役を離れた格好で歌うなんてまずないことだから、貴重な体験。

ルーサーの台詞「「you'd look so fine〜」のところ、
タクさんはfineを「カッコイイ」に替えて語っていた。
ここ、去年のファイナルでも「オー、山ちゃん、ダーリン、
あんたはほんとにかっこいい」と言ってましたね。思い出しちゃう。
やはり素の雰囲気だと、幾分あっさり目に歌は終わり、
「6日までやってますから〜」と引っ込む耕史くんたち。

結局、耕史くんやタクさんの語った時間は少なく、
スズカツさんの耕史くんへの熱い思いを聞かされたという印象だけれど、
耕史くんのヘドウィグを今後もずっとやっていくという
宣言を聞いたようで嬉しかった!
耕史くん大好き、ヘドウィグ大好きの仲間たちは、
トーク後抱き合って喜んでいました。

あ、それから前嶋さんは場の雰囲気をよく見ていますね。
スズカツさんへの相槌や、耕史くん登場の際の座席の空け方や、
タクさんが詰まり気味の時の助け船の出し方など、
頭が良くて繊細なひとだと思いました。
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