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2009年06月21日11:03

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「課外授業 ようこそ先輩」篠井英介

日曜の朝はこの番組を見て、そのあと日曜美術館に切り替えるのが定番。
今日は現代の女形・篠井英介(ささいえいすけ)さんなので、
先週から楽しみにしていた。
http://www3.nhk.or.jp/hensei/program/p/20090621/001/21-0825.html

篠井さんは古都・金沢のお生まれ。
冒頭、古い町並みを白足袋、草履、きっちりした浴衣姿で歩くのが、
本当にキマっていて素敵。
幼少より日本舞踊を始め、名取でいらっしゃるだけに、
所作の綺麗さに見惚れてしまう。

母校の小学校で、六年生たちを前に自己紹介などをしたあと、
風情有るひがし茶屋街に赴き、
ふすまの開け閉め、お茶の作法、踊りなどを教える。
朱塗りの見事な壁、広い座敷での授業。さすが金沢。
ただかたちを、振りを覚えるだけではなく、
何故こうするのか、意味を丁寧に説明するのに引き込まれる。

ふすまの取っ手に手を掛け、最初少しだけ開けるのは、
これから入りますよ、という中のひとへの合図。
一気にがらっと開けたら、びっくりさせてしまうから。
それから枠木に手を掛けて、自分が入れるだけの幅を開けて立って入り、
ひざをついて横向きのまま、襖に近いほうの手で枠木をつまんで閉めてゆき、
最後に取っ手に手を掛けて最後まで閉める。
襖に近い側の手でつまむのは、その方が背筋がまっすぐ保たれて綺麗だから。
逆の手にすると体がよじれてうつくしくない。
どの動きにもきちんとした理由があるのだ。

日本舞踊の「さくら」の振り。
手をこうするのは、ここにさくらがあるから。
花びらがひらひらと落ちて来たから。
ああ綺麗な空。その先に空が見える。
そこに何があるかイメージして、見えないものを見て欲しい。
それが篠井さんの授業のテーマ。

小学校に戻ってからは、チェホフの「櫻の園」の一場面を
班に分けて、皆に演じてもらう。
最初、棒読みで硬かった小学生たちの演技が、
一人一人の役が、どんな性格のひとで、どんな趣味を持っているのか、
アンケートを書かせることによって、それぞれの解釈で深まってゆく。
台詞は誰に対して言っているのか。そのひとに対してどう思っているのか。
それに応じて、言い方も目線も違ってくる。
皆の演技を見る篠井さんのまなざしは真剣で、充実の30分だった。
教わった子達は、得がたい体験をしたと思う。

そういえば、つい先頃この秋の東京グローブ座での、
篠井英介主演・鈴木勝秀演出の女形シリーズ第三弾
『サロメ』の配役が発表になった。
http://www.duncan.co.jp/web/stage/salome/index.html

これまで篠井×スズカツの女形シリーズでは、
テネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』、
三島由紀夫の『サド侯爵夫人』と見てきたけれど、
いずれもシンプルな緊張感あふれる舞台で、今回も期待している。
サロメが恋するヨカナーンが森山開次さん!楽しみだなあ。

あ、でももちろん、スズカツさん演出のオスカー・ワイルド作品は、
その前に世田谷パブリックシアターの『ドリアン・グレイの肖像』が控えている。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2009/08/post_159.html
こちらは今のところ5ステージ見る予定。
ワイルドの原作ばかりか、ワイルドが影響を受けたテオフィル・ゴーチェの
『モーパン嬢』だの『クラリモンド』まで読みふけりながら、お待ち申しております。
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