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2008年12月26日15:59

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極私的映画ベストテン2008

今年は去年以上に映画館へ足を運ぶ回数が減ってしまいました。
現在は山本耕史くんの活動を見ることが、私の関心の中心なので、
彼の舞台、撮影などを追うだけでせいいっぱいなのです。

それでもなんだかんだで日本映画は見ているほう。
ベストテンに堺雅人さんの映画が三本も入ってる…
よく働かれましたね。
毎年何かしら行っている、古い映画特集にちっとも行けなかったな。
三百人劇場の閉館はとても残念です。

邦画)

1 ぐるりのこと。
2 おくりびと
3 歩いても 歩いても
4 クライマーズ・ハイ
5 山のあなた〜徳市の恋
6 ジャージの二人
7 アフタースクール
8 ザ・マジックアワー
9 その日のまえに
10 パーク・アンド・ラブホテル

1 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=869955841&owner_id=949383
痛みを伴うけれど、深みのある素晴らしい作品。
橋口監督の深化と、リアルに演じきった役者さんたちに拍手!

2 感想を書き損なったけれど、思う以上にユーモアもあり、風景も素晴らしかった。
日本の地方都市を舞台にしながら、世界に通じる普遍的な広がりを感じる。
この題材は新鮮。

3 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=868256418&owner_id=949383
是枝監督はやっぱり好きです。
まるで自分の身の回りのことみたいに親しい題材。
静かな風景ショットが本当に心に残る。

4 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=860854134&owner_id=949383
映画館の広いスクリーンで見るべき作品。
事実の重みもあり、非常に見応えのある人間ドラマ。
普段はあまり見ないタイプだけれど、堪能した。

5 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=817977116&owner_id=949383
ひそやかな作品。とても私好み。風景も着物も綺麗。手の内で愛でたい。

6 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=916355800&owner_id=949383 
ああ、この脱力感もとても好き。でも実はこわさも含んでるんですね。
愛すべき作品。

7 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=825406750&owner_id=949383
トリックだらけのだまし絵。監督のお得意世界。役者さんたちが愛らしい。

8 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=831226742&owner_id=949383
仕掛けがありすぎて、かえって心にひっかからないきらいもあるのですが、
やはり面白いです。でも前作「THE有頂天ホテル」のほうが好きだな。

9 原作未読で、ほとんど予備知識なしに見たのだが、
宮沢賢治のイメージが濃厚なのには驚かされた。
余命一年を宣告された妻と、それを見守る夫の話。 夫婦の間には息子も二人。
そこに過去の話やファンタジックなイメージがからまる。

妻の実家が岩手で、その父親は宮沢賢治のファンで、
その影響で娘に「とし子」(この名は映画のオリジナル)と名付けたのだし、
劇中『永訣の朝』にメロディーをつけた曲が、繰り返し歌われて、
見終わったあともずっと心に残る。
しかも、その曲はチェロの伴奏で歌われる。
まぎれもなく『セロ弾きのゴーシュ』。

「けふのうちに/遠くへいつてしまうわたくしのいもうとよ」
と歌いかけられる『永訣の朝』は、妹とし子への哀切な鎮魂歌。
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)=雨雪(みぞれ)をとってきて、賢治さん
と言うとし子のため、陶椀をかかげて雪のなかに立ち尽くす賢治。
映画はそのイメージを繰り返し描く。
電車の場面は『銀河鉄道の夜』をも思わせる。
取り残される夫は、カムパネルラを見失ったジョバンニなのだろうか。

大林監督作品は、物語のまとまりなどめざしていない。
昔の子どもの事故のイメージなんか、ちょっとやりすぎじゃないかとも思うけど、
全体には破綻していながら、心に焼き付く。

夫役の南原さんがとてもとても良かった。
この作品で何か賞を取っても良いんじゃないかと思う。品が良いのだ。
永作博美さんの可愛らしさたるや、本当にすごい。
「人のセックスを笑うな」の彼女も驚異的な若々しさで、小悪魔的魅力でしたが、
こちらは本当にけなげで可愛い妻。

10 名画座に降りてきて、やっと見られた。
地味な作品だけれど、肌合いが合うというか、よく分かる気がする。
話としては、謎解きをせず、淡々と進んでゆくのが良い。
ハスキーヴォイスの女王・りりぃも味のある役者さんになったものですね。
まるでドキュメンタリーのように、彼女が新宿のどこかに生きている気がした。

・「椿三十郎」や「次郎長三国志」など時代劇も見たのに、ベストテンには入らず。
どうも自分の中にひっかからないんですね。
「次郎長〜」の最後、台詞なしで三味線の糸にのって展開する討入りは素敵。
個人的にワープステーションに通いすぎて、
あの橋もワープ、ここもワープと分かってしまうのは、我ながら困りもの。
時代劇の世界に集中できない。

・「西の魔女が死んだ」「グーグーだって猫である」などは、
いずれも惹かれる題材ではあるのに、いささか綺麗事すぎる気が。
梨木さんも大島さんも大好きなのですが。
「グーグー〜」恋愛要素は無理に入れないで欲しかった。

・「夕凪の街 桜の國」は綺麗な作品。
でもドキュメンタリー「ヒロシマナガサキ」のあと見たせいで、やはり印象が弱まった。

・「奈緒子」は今ひとつ。配役にやや疑問。
でも天才ランナー壱岐雄介役の三浦春馬くんはフレッシュだった。彼は良い!

・「人のセックスを笑うな」はちょっとダラダラすぎ。
松山ケンイチくん可愛い。永作さん演じる先生がちょっかい出したいのも分かる。
若者のどうしようもなさが切ない。
永作さんのチャーミングさは驚異ですね。年齢不詳!

洋画)

1 その名にちなんで(インド・米 )
2 ラスト、コーション(米・中国)
3 ぜんぶ、フィデルのせい(伊・仏)
4 この道は母へと続く(露 )
5 迷子の警察音楽隊(イスラエル)
6 ヒロシマナガサキ(米)
7 トゥヤーの結婚(中国 )
8 パンズ・ラビリンス (スペイン)

* 白い馬/赤い風船(仏)リバイバル作品

春頃に危惧した通り、年間10本見られませんでした。
今まで生きてきた中で、最低記録。
ケン・ローチ監督の新作すら見てないなんて。
なつかしいラモリスの「白い馬/赤い風船」まで入れて、十本ちょうどですが、
これは別格なので、いつかまた別項目で語りたいです。

とりあえず、他の8本が今年見た洋画のすべて。
名画座に後追いして見た作品などは、去年公開のものなので、
正確に言えば今年のベストテンの対象外でしょうが、
何しろ見た数が少ないもので加えました。
去年から今年にかけてのベストと言えるかも。

ちゃんとワンタイトルでレビューを書いたものもありますが、
まとめて書いたものもあるので、そこからも引用。
 ↓
1月〜3月に観た映画 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=792212712&owner_id=949383

1 http://movies.foxjapan.com/sononani-chinande/
ジュンパ・ラヒリの原作は、出るとすぐに読んだ。
その前の短編集「停電の夜に」も細やかな心のひだを描いて、とても素敵だったから。
その細やかさだけでなく、ああ、と目からうろこが落ちるような
ざっくりした大きさがあって、好きな作家。
インドとアメリカの両方の文化が、彼女の注意深い目を育てたのだろう。
「その名にちなんで」は自伝的要素のある長編大作で、
さすがに映画は全部のエピソードまで拾わないけれど、
国や文化が異なっていようとも、家族への愛や人情は同じなのだということを、
しみじみ感じさせてくれる佳作。

インドからニューヨークへと渡り、困難を乗り越えながら家庭を築いてゆく
アシマとアショケ夫妻は、どこにいようとインドの文化が心のよりどころだけれど、
アメリカで生まれ育った息子の世代にはそんな思い入れは無い。
どの国でもあり得るような、第一世代と第二世代とのギャップ。
どちらかというと親の世代に共感するものの、息子の気持ちもよく分かる。
それにしても遠くで唐突に聞く肉親の死は哀しい…

どの役者もとても良い。ことにアシマ役のタブーの美しさにはうっとり。
初々しい娘から老年に至るまで演じきる力量も見事。
どのひともどのひとも皆好きで、他人とは思えない。
そういうものこそ私にとっての傑作。

2 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=741811886&owner_id=949383
こういう戦時下の、女間諜の話はいっぱいあるような気がするけれど、
この作品はやはり気合の入り方が違うと思う。一瞬も目が離せない。
監督の力量に改めて感じ入ったし、トニー・レオン、タン・ウェイも素晴らしかった。

3 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=731616626&owner_id=949383
少年少女が主役となっている映画はよく見るほうだが、これはかなりの高得点。
ほんとに主役のアンナに共感して、彼女の気持ちに入れ込んで見た。
気持ちよいほどのふくれっ面。思ったことをはっきり口に出す痛快さ。
この子はきっと素敵なひとになると思う。
それにしてもこの映画館(恵比寿ガーデンシネマ)では、ケストナー原作「飛ぶ教室」だの、
東西ドイツの統一のあとの、東ドイツ側の混乱を描いた「グッバイ、レーニン」だの、
ヨーロッパや東欧の匂いがする作品がよくかかるなあ。

4 http://eiga.com/official/konomichi/
冒頭のものさびしい、雪ばかりで何もない道を行く車のショットから、
あ、これはとても良いな、と分かった。
ドキュメンタリータッチで 緻密な脚本。
淡々と進むようで、ぐっと気持ちをつかんで離さない卓抜さ。
なんといっても主役のワーニャ少年が素晴らしい。
せちがらい孤児院からイタリア人夫婦の養子に選ばれるという幸運に恵まれながら、
本当のお母さんに逢いたくなり、涙ぐましい奮闘の末に脱出して、
とうとうママのもとへたどり着くまで、本当にはらはらどきどきしながら観た。
それもことさらに泣かせようなどとしていないのが好ましい。

頼りなげで無垢な感じのワーニャだけれど、意地悪やいじめを受けながら育っただけに、
それなりに生きるための知恵を身につけている。
ことに、追跡者に向かって捨て身で応戦するところは目を見張った。
最後の描き方の余韻も良い。少年少女映画の私的ベストテンに入る佳品。

この邦題は「母を訪ねて三千里」を思わせて分かりやすくなっているけれど、
原題は「Italianetz」(イタリア人)。
最初イタリア人夫婦の養子の話が決まったワーニャに対して、
皆がやっかみ半分でからかうようにそう呼びかけることから。
ロシア映画ってどこか土臭くて、とても親近感がある。

5 http://www.maigo-band.jp/
派手なところはひとつもない、ちょっと間が抜けた人々のささやかな交流のお話。
エジプトからイスラエルに演奏のためにやってきた楽隊が、
手違いのため行き場を失い、なんとか地元のひとの善意にすがって一夜を過ごす。
堅物だけど実はナイーブな楽団長のトゥフィークの、
律儀なやさしさが最後にはいとしくてたまらなくなる。
彼を助けて泊めてあげる、食堂の気丈な女主人ティナの
ハスキーボイスの歌も良かった。
若い楽団員カーレドのさりげない恋愛指南も最高。

くすくすっと笑って、じんわり心があたたかくなって、
最後はしみじみと人生の機微を感じさせてくれる。皆好きだ。
「アキ・カウリスマキのようなユーモアと
ジム・ジャームッシュのような映像感覚を合わせもつ」と賞賛され、
各国の映画賞を受賞しているのも納得。

6 http://www.zaziefilms.com/hiroshimanagasaki/
原爆を描いたドキュメンタリーやドラマは結構意図的に見てきているけれど、
このドキュメンタリーはアメリカ在住の日系人であるオカザキ監督だから
こそ作り得た作品。被害者側だけを感情的に描くのではなく、
アメリカ側の証言やTV映像を交えて、みごとなバランス感覚を持っている。

被爆体験者の体と心に刻まれた傷には、言葉もなく圧倒されるしかない。
どのひとも、ごく普通の家族とごく普通に暮らしていて、
こんな災厄は予想だにしていなかったことに胸が詰まる。
その日の朝まで、戦争中ながらも当たり前の暮らしがあったのだ。
でも罪もなく地獄の業火に焼かれてしまったというのに、
誰もが怨恨を叫んではいない。
どこか高みにのぼったような、深い深い精神性。

ひるがえって、アメリカ側の証言者の観点の違いに慄然としてしまう。
「ヒト」ではなく、「モノ」を扱っているような感覚。
同じ人間だとは思っていなかったのだろうか。
他人は自分とは違う、いろんな考え方がある、と認められれば、
違うものは全部殲滅してしまおうというふうにはならないだろうに。
それは今に至るまでアメリカ的な思想なのだろうか。
とても考えさせられる重いテーマでありながら、何故か嫌な気持ちにはならず、
監督の懐の深さを感じた。

7 http://www.tuya-marriage.jp/
モンゴルの大草原を舞台とした、ドキュメンタリータッチの物語。
気立ても顔立ちも良いトゥヤーが、事故で動けなくなった夫を抱えて
孤軍奮闘しているのを見かね、夫のほうから自分と離婚して再婚しろと勧めるのに、
彼女は夫と別れたくなくて、彼も共に面倒を見てくれることを条件に再婚相手を求める。
普通ならありえないような状況だけれど、
年上でいかにも大人(たいじん)といった雰囲気の夫を、
彼女が心の拠り所としているのは 見ていて納得できる。

ちょっとスリリングな展開もあり、思わずはらはらして手に汗握ってしまったが、
全体に淡々として好感の持てる作品。
ただ、もっと以前なら感動の度合いも深かったと思うのだけど、
ドキュメントかと見紛うようなアジアの優れた映画をここ数年見てきたあとだけに、
どこかで見たような印象もある。

他が皆現地の素人で、実名と役名が一体となっているなかに、
主演のトゥヤーを演じるユー・ナンがすんなりと溶け込んで、
リアルな存在感を出しているのはすごい。
ちょっとコン・リーのデビュー当時を思わせる。
でも雑誌などで見る彼女はすらりと化粧栄えのする美人で、そのギャップにびっくり。
役者さんはすごいな。

8 http://www.panslabyrinth.jp/
かなり評判になったダーク・ファンタジーということだけで、
事前の知識はほとんどないまま見た。
1944年のスペイン、フランコ将軍の圧制になおもゲリラが抵抗を続けていた不穏な時代。
夫に先立たれた母がフランコ将軍側にいるビダル将軍 に見初められて再婚したことにより、
少女オフェリアは、将軍の山の館に母と共に入り、境遇が一変する。
おとぎ話が大好きな彼女の前にパンの神が現れ、彼女にさまざまな試練をあたえ、
ついには…

精巧に出来てはいるのかもしれないが、私はファンタジー部分にひいてしまった。
現実の残虐で理不尽な虐殺があまりに強烈で、全部つくりものに見えてしまい、
自分のなかでうまく融合しなかったのだ。生理的な問題だから仕方がない。
多分私は現実の残酷にだけ反応してしまったのだと思う。

ファンタジーを描く程合いはむつかしい。
私にとってダーク・ファンタジーの一番はグリム童話の赤頭巾をベースに、
不思議の国のアリスなども髣髴とさせるニール・ジョーダンの「狼の血族」
(「THE COMPANY OF WOLVES」1984・英)であって、
それを超えるものは未だ見ていない。
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