引っ越し作業で忙殺された一ヶ月あまりの合間にも、
実は密かにちょこちょこっとお出かけしたりしていました。
家具と箱詰めした荷物の第一次引っ越しを終えてほっとした某日、
デザイナーのお友達も参加している来年のカレンダー展を見に。
仕事帰りに曙橋付近の小さいギャラリーに立ち寄ったあと、
お茶くらい飲みたいね、と同行してくれたmonoさんと喫茶店を探し、
前からちょっと気になっていた新坂沿いの「ありすとてれす」へ。
----------------
ありすとてれす
新宿区舟町15番地
----------------
この界隈には、なかなか雰囲気のある洒落た店の看板があちこちに。
名前も佇まいも惹かれるものがあるお店だけれど、
お茶が飲めるかどうか不明。
もしかしたら夜だけのお酒の店かもしれない。
ドアのガラス越しに様子をのぞいてみたけれど、
メニューも何も見えないし、第一ドアが開かない!
灯りはついてるのに、と二人入れ替わり立ち替わりドアを押したり引いたり。
カウンター奥の方にいらしたお店のかたが、気付いてドアを開けに来てくださった。
「お茶が飲めますか?」と伺ったら、「紅茶くらいでしたら」とのこと。
「おいくらですか?」「七百円です」「あ、じゃあお願いします」
照明が抑えられた店内は、予想以上の居心地の良さ。
ずっと前から時が止まっているような古めかしい部屋。
活けられた花の沈んだ香り。
席の後ろの至る所、置かれた大判の画集やパンフレット、研究書など。
座った椅子のテーブルには、さりげなくアンドリュー・ワイエスの画集。
さまざまなパンフレットやちらし。歴史が降り積もっているような。
誤解を恐れずに言えば、まるで以前の私の部屋のよう。
お年を召した店主の女性も、とても雰囲気のあるかた。
何よりもその話術が魅力的。
お話を伺っていると、日本全国に知り合いがいるような感じ。
さまざまな方がいろんな場所から集う、ここはいわゆるサロンなのですね。
やはり喫茶店というわけではなく、お酒の店のようだけれど、
もともとメニューはないとのこと。
グレープフルーツの香りの紅茶と、小さなクッキー菓子が可愛らしい器で供され、
CDでクラシックなど流されて、時間に余裕がないのを忘れてしまいました。
時に鍵を閉めていても、ドアをたたく人には扉を開くとのこと。
なんとも不思議なお店。
「またゆっくりいらしてください」とのお誘いもあり、
もう少し落ち着いたら是非また足を運んでみたいものです。
もうひとつは、もう年末年始恒例の、植物あかり展。
通勤路の松濤のJMギャラリーで毎年見ている素敵な展示。
こちらもmonoさんをお誘いして出かけました。
----------------------------
NOUVELLE NATURE 12
CHARACTERS
川村忠晴 自然・光・影のオブジェ展
2008/12/10(水)〜2009/2/1(日)
----------------------------
造形作家・川村忠晴さんの植物あかり展『ヌーベル・ナチュール』も
今年でもう12回目。
http://jm-gallery.jp/kawamura2009/index.html
クヌギだのコシアブラだのヤマボウシだのの葉っぱや、
ウバユリ、ルナリア、ホオズキなどの実など、
自然の植物を素材に、小さな灯りを仕込んだオブジェは、
魔法のような愛らしさで、毎回魅了されてしまう。
木の枝を使った「踊るひと」のシリーズも好き。
生き生きとした枝振りが、本当に踊っているよう。
よく見ると、股の部分に突起があるものとないものがあって、
ちゃんと男性と女性に見立てられているのだ。
ひょうたんや貝殻を使った小さなスピーカーから、やさしい音楽が会場に流れる。
このギャラリーだけではなく、あちこちで個展をなさっているらしい。
http://www.michi-m.co.jp/kawamura/sakuhin2.htm
ひかりを通して改めて気付く葉脈や実の模様の見事さ。
私も、同じような素材に惹かれ、絵に描いてきたから、
その選択の確かさ、素材の生かし方には惚れ惚れしてしまう。
ああ、私もまた作品展がやりたいな、という気持ちも湧いてくる。
もうちょっと落ち着いたら、また出来るようになるかな。
植物あかり展をご覧になりたいと思われた方、
JMギャラリーは年末閉まるのが早いのです。
今年はもう昨日まででおしまい。
年明けを待って、足を運んでみてくださいね。
ログインしてコメントを確認・投稿する