不定期連載、最終回(笑)
最後は特別上映の
『リアリティー』
マフィアの実態を描いた
『ゴモラ』で2008年カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞したマッテオ・ガッネーロ監督に、再びカンヌがグランプリを与えた作品(2012年)。
『ゴモラ』の後ゆえ硬派な社会派ドラマかと身構えるが、視聴者参加リアリティー番組の虚と実を掬い取って見せるコメディである。
日本では馴染みがないが、海外では25カ国以上で放送されている人気リアリティー番組「ビッグ・ブラザー」に取り付かれてしまった男の悲喜劇を描く。
日本に同名の番組がないといっても似たようなものは知っているだろう。
素人を集めて集団生活させ、それを放送するというのだ。
魚屋を営む主人公ルチャーノは陽気なナポリっ子で近所の人には人気がある。だが貧しいがゆえ、裏で詐欺まがいのことまでしないと生活出来ない。
ある時、大好きな番組「ビッグ・ブラザー」のキャストに選ばれたら生活も楽になると妄想し始め、周囲の応援もあり、その気になって応募する。だが、これで人生が狂いだす。
いつか自分も当選すると夢ばかり追って、現実と幻想の境目が見えなくなってしまうのだ。
イタリア映画で、現実と幻想が入り混じるといえば脳裏に浮かぶのはフェリーニ。
これはフェリーニの系譜で語られるべき作品なのかも知れない。
その意味でいうと登場する女性もまた肉感的で、
<フェリーニ映画>のアイコンを見るようである。
やがて主人公は幻想と現実の壁を乗り越えてしまうのだが監督からのメッセージはハッキリしていない。
どう受け止めるのかはあくまでこちら次第。
それは<自分で考えることの大切さ>を婉曲に説いているのかもしれない。
※蛇足ですが、カンヌの賞はややこしい。
最高賞は「パルム・ドール」なのはご存知でしょうが、昔は一般的に「グランプリ」と呼ばれていたりしました。
で、その下に「審査員特別グランプリ」があるのですが、時々名称を変えて'95年から単純に「グランプリ」と呼ぶようになりました。ん〜どういうことよ。(汗)
【総評】
昨年は移民問題と貧困をからめた作品が目に付いたが、今年の傾向を考えると格差社会、貧困は相変わらず<主役>であるが、そこから“
もがきながらも這い上がろうとする人々”の姿が感じられた。
映画が社会を映す鏡ならば、今のイタリアはまさに転換期にあるのかもしれない。
(ただ、映画としてのレベルはややダウンかな…)

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