mixiユーザー(id:11939455)

2016年05月23日00:53

113 view

『海よりもまだ深く』

『海よりもまだ深く』

 父がなくなり、老いた母の一人暮らし、過去にしがみつき現在を見ようとしない主人公(しかも長男)に、とても客観的になれなかった。
あの日夢見た未来像に近づけたのか、なりたい自分になれたのか?
自問自答するまでもない。

 是枝裕和監督の作品の中では庶民ドラマを描くタイプの一つ。
その中でもとりわけありふれた日常を取り上げる。
だからこそ是枝監督の演出のエッセンスが詰まっている気がした。

 15年前に文学賞を取ったが、今では売れてない小説家“篠田良多”(阿部寛)が父の死をきっかけに家族との関係を見つめ直すという家族ドラマとしては定番ともいえる題材。
この篠田良多という男、一言で言えばクズ。絵にかいたようなクズっぷりで類型的ではあるが、それだけ普遍性はあるのか。

 是枝監督作で阿部寛と樹木希林の親子といえば『歩いても 歩いても』が想起されるが、現に監督は『姉妹編』と公言している。(名前も同じ良多)
本当に(容姿は似てないけど)息の合ったコンビで、さりげないユーモアも阿吽の呼吸を感じる。
舞台となるのは郊外の団地。現在ではどこも子供が独立して住み手が高齢化する問題を抱えていると聞く。
高度経済成長期には夢の棲家だったのに、今では建物自体が独居老人のメタファーであるかのようだ。

 普遍的な“家族の物語”を裏から支えるのは“食”だろう。
特別な何かではなく、誰もが記憶にあるありふれた食品類。
それが家族の喪失とともに一種のノスタルジーの効果もあわせもつ。

 もしかして発想のヒントは台風“一過”と“一家”を掛けたダジャレだったのかな?(笑)
邦題の意味は<ある地点>でわかるのだが、むしろ英語タイトル『After the Storm』の方が個人的にはピンと来た。
嵐がストーリー上果たす役割は誰もが予想つくだろう。
人生は「こんなはずじゃなかった」と思いながら、それを肯定しなければ未来もない。

フォト


 家庭の問題が主眼なので探偵事務所関係は割愛したのかもしれないが、少々気になる点も残った。
3 9

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年05月>
日 月 火 水 木 金 土
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    

最近の日記