『ニーゼ』
現在では、精神疾患の治療法にロボトミーも電気ショック療法も用いられてないが、そういう古い医学が信じられていた時代に風穴を開けたブラジル人医師ニーゼ・ダ・シルヴェイラの伝記。
患者の苦しみを和らげることが目的のはずの医学が苦痛を与えるという矛盾に疑問を呈す。
冒頭のシークエンスがニーゼを待ち受ける困難さを象徴しているようで実に上手い。
もはや常識となっている芸術活動やアニマルセラピーの先駆けとなった女医ニーゼ。
先入観や前例にとらわれないスタンスは他のジャンルでも通用するだろう。
作業療法や女性を見下していた内部の妨害にもめげすに折れない強さには脱帽するのみ。
女医ニーゼを演じた女優グロリア・ピレスの演技も良いし、患者たちを演じた俳優も説得力があるし、実際の病院をロケとして仕えたことも作品に寄与するが、何よりも劇中で患者たちが描く絵が見事。(劇中で描かれたのは誰の手によるものかは不明だが…。)
余談ながら、実際に描かれた絵がスイスの美術館に収蔵されているというが、あまり訪れる人はいないそうだ。
この映画がきっかけになって、再び日の目を見るといいのではないか。
ロボトミー手術が評価されたのは<手っ取り早い>解決方法という意味もあっただろう。
それに比べればニーゼの方法は手間暇がたっぷりかかる。
しかし、どちらが正しいのかと問いただせば自ずと答えは出る。
キチンと人間として向き合い愛情を注ぐことが<奇跡>への道なのだ。
本作が東京グランプリ受賞。
確かに良質の映画だけど、当たり前の偉人伝なので意外性には乏しいかも知れない。
今年の審査員の傾向なのかな。
(それでもここ数年の結果よりは納得できるが…)
時に去年のグランプリが12月に上映される。
これはまぁ各人お好みで…と思うが、やはり昨年のTIFFで見た『シーズ・ファニー・ザット・ウェイ』が
『マイ・ファニー・レディ』 と改題して12月19日より公開!
これはオススメなので、是非見てね。
ついでにグランプリ上映の時にハプニング。(ばらしちゃう)
運営サイドの手違いで、場内の一部の席が使えなくなっていた。
(その前のイベントのため)
一部の人には空席を利用してもらったり、返金騒ぎになっていた。
ホベルト・ベリネール監督の出身はブラジル。世界各国からゲストが来日するので、すべての言語の通訳を用意するのは難しいのかもしれないが、ポルトガル語ぐらいどうにかならなかったのか?監督は慣れない英語で一生懸命言葉を探りよせている感じだった。
(人件費の問題か?)

(監督とプロデューサー)
最初のコンペ上映後のQ&Aで日本に住むブラジル人が質問していた。
最初にポルトガル語で質問して、そのあとで自分で日本語に訳していた。(笑)
あのお客さんに頼めたらよかったのになぁ。
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