『
夢売るふたり』
誰しも夢や希望なくして生きるのは辛かろう。
<夢を売る>と体裁よく言っても、その実自分の夢のために他人様の夢を食い物にしているだけ。
こんな奴らをいかに共感させてくれるのか…、西川美和監督はいかに気持ちよく詐欺を働いてくれるかに期待しての鑑賞。
たたき上げの<阿部サダヲ>とノーブルな出自の<松たか子>が夫婦役で結婚詐欺を働くという。しかも陰で操るのがノーブルなお方。
このイメージの逆転はいかにも西川監督らしい。
イケメンじゃないというのも妙にリアリティがある。
詐欺行為そのものに比重がないのは作品の性質上理解できる。
<悪事>は行われるが、心底の悪人は出てこない。
だます方もだまされる方も
ちょっとづつ人間的弱さを持つから説得力があるのじゃないか?
阿部サダヲは相変わらず反射神経の早い芝居を見せる。
松たか子演じる<里子>を見て羨ましいと思う女優さんって多い気がする。
ステレオタイプじゃなく奥行きのある個性的役柄って中々巡り合わないのではないかな?
物議をかもし出すであろう<里子>の“
際どいエロシーン”にはビックリ仰天(ご覧になった方はお分かりかと思うが…)。
ここに
女の本音と建前(プライド?)を落とし込んでいると思うがどうだろう?
個人的には
安藤玉恵演じる太田紀代の心境吐露にぐっと来るものがあった。
ただ、些細なことだが気になった点がないわけでもない。店を失う火災には「いくらなんでも料理屋を5年も経営しているプロが“その程度”で火災事故はないでしょ?」と思ったのも事実。話が変わってしまうけど<結婚詐欺>につながりやすくするために詐欺で失う…という選択肢はなかったか?
ラストに登場する動物の意味するところが謎めいているが、そういう曖昧さを持たせ自由な読み方が出来るのも西川作品らしい。
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