『
斬、』
『野火』などで知られる塚本晋也監督が初の時代劇に挑む。
刀鍛冶から始まる本作。
鉄の塊に息吹を吹き込むあたりは『鉄男』の監督らしさが見て取れる。
主人公は浪人でもなく農民でもなく《刀》ということか。
時代は幕末、開国するか否かで揺れる中、京都にはせ参じて戦うべきと力説する剣豪《澤村》(塚本晋也)。
剣術の腕前はあるが実践経験に乏しい浪人の杢之進(池松壮亮)は生身の人を殺すことに戸惑いを覚える。
明らかに黒澤明の時代劇…特に『七人の侍』を意識した個所を感じる。
監督自身が演じる剣豪はまさしく『七人の侍』の勘兵衛と久蔵を掛け合わせたかのようなキャラクター像。
しかし時代劇としての再現度でいうとやや物足りなさは感じる。(そこが目的ではないと思うが…)
元来その地に住み着く農民たちと、どこからともなく流れ着く《無頼者たち》。
この構図は移民を排除しようとする保守的な今の社会情勢の縮図とも見て取れる。
それぞれが主張する《生きる権利》はもっともであるが、権利はどこまで正当化できるのか。
根拠なき不信から起こす不要な争い、そしてとどまることのない負の連鎖…。
現実逃避で杢之進が壁に向かってする行動こそ<権利の主張の根本>が象徴的に表れているのではないのか。
思えば杢之進の剣術も自己流だった。
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