『
フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』
ディズニー・ワールド・リゾートがあるフロリダの貧困層向けモーテル「マジック・キャッスル」を舞台にしたドラマ。
なんでも“プロジェクト”とは貧困層向けに建てられた団地(タイプの建物)のことを指すらしい。
すぐ隣には世界最大の夢の国があるのに、足元には対比的な影が広がるのは皮肉。
若いシングルマザーのヘイリーと暮らす6歳のムーニーの視点で描かれる本作。
そこには貧しくともささやかな楽しみを見つけ、抜け目なく生きる姿が映し出される。
やがて映画はゆっくりとこの親子に訪れる危機に向かって歩みだす。
貧困層の問題は、単に物質面だけではなく、まともな教育を受けられないことの弊害が負の連鎖を巻き起こすことにもある。抜け出したくとも抜け出せない暗鬱たる境遇を相反する鮮やかな色彩とともに描き出す。
iPhoneで撮影したことで話題となった『タンジェリン』のショーン・ベイカー監督の新作。
今度は35ミリで撮影されているが、ラストシーンだけはiPhoneらしい。
そこまでの厳しい現実世界から転換するポイントとリンクした使い方が何とも憎い。
管理人ボビー役のウィレム・デフォー出演のおかげで映画(作り物)と分かるくらいにリアルさを感じる。
厳しくもやさしい好人物で、こういう大人になりたかった。
子役ブルックリン・キンバリー・プリンスの上手さに舌を巻く。
基本的にシナリオありきの演技らしいが、全編アドリブだったとしても頷けるくらいに自然な演技。
母親ヘイリー役のブリア・ヴィネイトをインスタで見つけたというのはご時世か。
本当にその辺のストリートから抜け出てきた生々しさに驚く。
(劇中のタトゥーはマジ物みたいだな)
『タンジェリン』もそうだったが、ベイカー監督は素人キャスティングでも抜群の目利きを発揮。
ショーン・ベイカーの魔法にかけられたひと時。
ログインしてコメントを確認・投稿する