『
しあわせな人生の選択』
余命宣告を受けたら、残りの日々を自分ならどうするだろうか…。
終活問題は日本でも身近だし、死の訪れは年齢と必ずしも比例するわけではない。
セスク・ゲイ監督が自身の母の闘病体験を参考に作り上げた心温まる友情物語。
死を題材にしながらもことさら感情的に盛り上げないのは大人の映画を感じさせる。
スペインで俳優として活躍したフリアン(リカルド・ダリン)のもとに遠く離れたカナダから親友が訪れる。
人生の最期を幼なじみと「すべきリスト」を見つけて過ごす4日間。
身辺整理に当たって愛犬の里親探しやわだかまりのあった知人との和解、離れている息子との再会など、ともすると派手な演出になりそうなところを抑えて何とも地味な(そして現実的な)エピソードに終始する。
そこには悲壮感や必死さよりも<なんとなく>生きてきたゆったりした時間がそのまま流れる。
長く離れていても、そこは旧知の仲、言葉に出さないまでも相手のことはよくわかるのだろう。
余計なことを伝えなくとも思いは伝わる。
…いや、余計なことをしないから伝わるのだろうか。
フリアンと息子の再会シーンに思わずグッと来たのは男同士の物語だからだろうか。
思えば、“口数少ない”フリアンの老犬もオスだ。
正解のない里親探しの最も正解に近い答えにも納得。
主演のリカルド・ダリン(『瞳の奥の秘密』)あってこその説得力を感じる。
彼でなければ、絶妙な重さと軽さのバランスが取れなかった気がする。
観終って余韻がじわりとくる。
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