mixiユーザー(id:11939455)

2017年04月26日02:21

402 view

『光をくれた人』

『光をくれた人』

 これが処女作だというM L ステッドマンのベストセラー「海を照らす光」の映画化。
『ブルーバレンタイン』のデレク・フランシアス監督自ら映画化を希望したという。

 第一次世界大戦で闇を見た帰還兵トムが故郷豪州で隠遁するかのように人里離れ孤島の灯台守につくところから話は始まる。
この設定が中々上手い。

 トムが戦地で体験した悲惨な状況から人間性を取り戻す過程で出会った女性イザベルとの深い愛情の物語である。
舞台は二つの大洋がぶつかり合う場所で、常に二つの何かの間で葛藤が生まれる。
それは正義と不正であり、夫と妻、生みの親と育ての親…様々な二つの力の綱引きの渦に飲み込まれる。

 タイトルにある光を与える人物は複数いる。トムにたいしてのイザベルであり、イザベルにとって赤子であり…といった具合。
漂流していた赤子を我が子として育てようという過ちを犯すとはいえ、悪意からではないし、願う妻の気持ちも理解はできる。(原作者が女性という点も頷ける。)

 帰還兵のトムにとって(従軍の反省から)第二の人生は“人としてまっとうに生きよう”という誓いも含んでいただろう。
良心の呵責にさいなまれてやむを得ず決断する姿には共感を覚える。

 何といっても風景が抜群。ゆったりした広大な海と灯台がそびえる孤島に、ムードあるBGMがロマンスを引き立てる。
ロケとして選ばれた古い灯台はよくぞ見つけたと感心する。
(監督は300か所くらい見て回ったと聞く)

 個人的な妻の幸せと(灯台守という)正しく人を導くべき公の立場の板挟みとなる姿をマイケル・ファスベンダーが好演。
一見、気丈夫そうだが繊細な妻イザベル役のアリシア・ヴィキャンデルは適役だと思う。
母親ハナを演じるオスカー女優レイチェル・ワイズとの共演は見応え十分。
娘ルーシー役の女の子が実に可愛らしいのも付け加えておこう。(笑)

 戦争での殺人が英雄扱いになる不条理さもチラリと想像させるあたりも上手いのではないか。
誰もが身勝手な理論を持ち出し、“主役”を蔑ろにするあたりが実に皮肉的である。
争いごとの解決には何が大切かということは、戦争も同じだろう。

試写会@スペースFS汐留
5月26日より公開

フォト


 ゲストで原作本の翻訳を担当された古屋美登里さんが登壇。
入り口で原作本を売っていて、「試写会なのに珍しいなぁ」と思ったらそういうことか。
トーク後に「購入者にはサインします」ってんで、列に待機。(笑)
この方は音楽雑誌BURRN!でも書籍のコラムを持っていて、ずいぶん昔から名前だけは存じ上げていたのです。

フォト
2 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年04月>
日 月 火 水 木 金 土
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      

最近の日記