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2016年09月03日02:48

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『君の名は。』

『君の名は。』

 『シン・ゴジラ』が3.11以後の世界を示すように、本作もまぎれもなくそれを意識した作りとなっている。
 アニメーション映画監督・新海誠の作品の中でも過去最大規模の公開となった注目作。
(こんなに劇場数が多いのに、公開直後はどこも混雑していて見やすい席が取れずに鑑賞が遅れてしまった…。)
独特のカラフルな色彩表現や壮大な風景描写もいつもの新海作品を思わせる。

 「君の名は」なんてタイトルを年配の人に聞けば、菊田一夫のドラマを思い浮かべるかもしれないが、本作もそれに倣って男女のじれったいスレ違いが描かれる。
若い男女が入れ替わると聞けば、大林宣彦の『転校生』をイメージする人も多かろう。
実際、前半は想定内の展開を見せるが、中盤でガラリと舵を切る。

 ズラすポイントがあるとしたら「そこ」だろうと思っていたので驚きはなかったが、ある種のパラドックスに陥る危険性はある。
(片方の携帯の扱いが気になった。)

 彗星の持つプラス面とマイナス面を巧みに取り入れているのが甘いだけのファンタジーで終わらせていないのだろう。
よく見ると一つ一つ丁寧に伏線を張っているのだが、新海監督はところどころで「?」という箇所を作る。
ネットでも大物SF作家が指摘して話題になっているティアマト彗星の軌道問題。
ほんの一瞬なので指摘されなかったら気が付かなかったと思うが、言われてみれば確かに…とは思う。
以前の『秒速5センチメートル』でも実在の駅のデザインを間違えていたりする。
これは意図的というよりもたぶん気にしない性質なのかと思ったりもする。
(ただ、つかなくていい嘘はつかないに越したことはない。)

 風景に比べて指摘されてきた人物の弱さには専門のデザイナーを迎えてソツなくバランスをとっているあたりは潔い。
男女入れ替わりという難しい役どころを演じたヴォイスキャスト(神木隆之介、上白石萌音)も奮闘していたと思うし、BGMの選曲は実に上手い。
『ほしのこえ』ですい星のごとく登場した新海誠監督の集大成的な意味合いも感じられた。

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