『暗黒街』@
イタリア映画祭2016
金や女といった欲望が渦巻く裏社会を重厚なタッチで切り取る。
ひょんなトラブルから次々と玉突き事故のように暴力の連鎖が止まらなくなる不幸な人々が描き出される。
ローマ郊外にカジノを建設して一儲けしようという輩が政治家に圧力をかけて駆け引きするよくありそうな話で、どの国でも起こりそうな「まずいことの事後処理」のどす黒い展開が待ち受ける。
原題のスブッラ(Suburra)とは売春宿や酒場が立ち並ぶ古代ローマの貧民街を指す言葉らしい。
文字通り、そこには計略で結ばれた政治家とマフィアの交友場所となっている。
街を仕切るマフィアは『サムライ』という名を持つが、『サムライ』と聞くとアラン・ドロンの映画を思い出す。
武士との関連はあまり感じないのだが、精神性の高さはあるのかも知れない。
130分と少々長めの尺に様々な人間模様が描き出される。
チンピラ、悪徳政治家、売春婦とロクな人間は登場しないので共感は得辛いが、悪に染まりやすく抜け出せないのは同情すべき環境なのだろうか。
話はフィクションでもローマという町の抱える歴史と現実的側面からは説得力が感じられる。
夜の闇はどこまでも黒くなる。
雨のシーンが目に付くが、ここでは浄化の雨ではなく晴れ間の見えない血の雨に思えてならない。血で血を洗うという形容詞がピッタリとくる。
ステファノ・ソッリマ監督は、TVでこの手のジャンルものを手掛けてきたようだ。
悪徳政治家役のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ(『ナイトミュージアム』)や枢機卿役でのジャン=ユーグ・アングラード(『王妃マルゴ』)といった名優たちが作品に格を与えている。
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