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2016年04月27日21:52

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『レヴェナント 蘇えりし者』

『レヴェナント 蘇えりし者』

 全ての密度が異様に高い。
演技・撮影・VFX・音楽・音響…様々な要素が大切であるのは確かだが、全部が全部となると(至福感がある反面)長尺だけに余計に息苦しい。

 グリズリーに襲われ瀕死の重症を負い、旅の仲間に見捨てられたヒュー・グラスの実話を基にしたサバイバル劇。
マイナス20度という過酷な寒さのロケはレンズを通しても伝わってくる。
「どうやって?」と思うほど撮影の難易度も感じるが、まるで死神が乗り移ったかのようにカメラがとらえると次々死んでゆくショットは身震いするほど。
(3年連続だが、エマニュエル・ルベツキのオスカー受賞も納得する驚愕の出来栄え!)

 何をさておいても本作で念願のオスカーを受賞したレオナルド・ディカプリオの熱演に尽きるのかもしれないが、一方でアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の変わらぬ信念も強く感じる。
監督名を隠しても『バードマン〜』の人でしょ?と分かるくらいにイニャリトゥ節が出ている。
被写体を追いかけるカメラワークや実験色あるサウンド。
『バードマン〜』にも登場した意味深な“あるシーン”はキリスト教圏の人には終末思想と復活の暗示として承知されているだろう。

 現代社会にも通じることだろうが、欲望(金銭欲や肉欲)のために秩序を乱す非人間的な行動は神に罰せられる、そこには人種差別問題も含まれるということなのか。
アメリカ先住民への抑圧はイニャリトゥ監督がメキシコ出身だという点でも共感を寄せていた可能性はある。

 キリスト教では最後の審判のために地上に降りてきた神は正しい者を天国に引き上げ永遠の命を授けるという。
それが本作のスピリチュアルな側面と合致しているように感じた。
キリスト教の終末思想を持ち出しているとはいえ、イニャリトゥの中にはもっと自然を含めたより大きな根源的なものを想定している気がしてならない。
自然に殺されかけたヒュー・グラスが自然を味方につけた時に蘇えるのがその証…。
朽ちた教会や馬の活用など比喩も多く隠されているように感じる。

フォト


 シンプルな話だが、トム・ハーディが狩猟でわなを仕掛ける名人というのが効果的な伏線になっている。
セリフをそぎ落とし映像でグイグイと見るものを引っ張る力は並々ならぬ自信が感じられる。

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