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2016年04月17日22:27

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『バベットの晩餐会』

『バベットの晩餐会』

 セリフであれ、映像であれ、たった一つの決定的な何かがあるだけでガラリと評価が変わる事がある。
本作にまさしくそれを痛感させられた。

 19世紀のデンマーク。
禁欲的な寒村で暮らす老姉妹と家政婦にまつわる物語。
姉妹の亡き父親は牧師で、その伝道者として村で暮らしていたために少なからず犠牲を払っていた。
ある時、姉妹の元へフランスから巡り巡って辿り着いたバベットという女性を家政婦として雇い入れる。
バベットは老姉妹に村の料理などを手ほどき受けながら次第に溶け込んでゆく。

 おそらく物質的にはそれほど豊かではなかった土地なのだろう。
だからこそ姉妹の父親が厳格な戒めで村をまとめてこれたのではないか。
この禁欲的な生活が終盤に伏線として効いてくる。

 物語の背景にはプロテスタントの存在が感じられる。
姉妹の住む村はプロテスタントであり、それが故に異なるものに排除的になる。
その結果が悪夢につながっていたのかもしれない。

 当初は予算削減のために全員デンマーク人でキャスティングしようとしたらしい。
しかし、ガブリエル・アクセル監督のこだわりでフランス人役はフランス人で…とバベット役をカトリーヌ・ドヌーヴにオファーしたようだが、結果的には『いとこ同士』や『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』で知られるステファーヌ・オードランになったのは良かったのではないか。

 本作はデジタル・リマスター版ということで、どれだけブラッシュ・アップされているか気になる方もおられるだろうが、あいにくと初見なので比較はできない。
ただ20年以上前の映画だし、元々の素材が粒子の荒い傾向にあったのかもしれないと感じた。

 まず、映画の見所として真っ先に挙げられるのは晩餐会の豪華料理であることに異論を唱える人はいないと思われる。
見たことも聞いたこともないようなスペシャル・メニューがズラリと並ぶのは壮観。
まったくもって村人と同じ気持ちを味わうひと時。(笑)

 ただ、バベットの豪華料理からグルメ映画と見るのは違和感を覚える。
豊かさとは何か?人に幸福をもたらすのは宗教か政治か、それとも別の何かか…。
バベットの人生が凝縮された料理と最後のキメ台詞、晩餐会出席者の数字が別の意味で“信仰”を感じさせることだった。

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1987年度、米アカデミー賞外国語部門受賞
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