『メン&チキン』
トーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2016
もしも自分の親が本当の親じゃなかったら…とか、自分の知らない兄弟がどこかにいるかも…などと考えたことはないだろうか。
「人と鶏」という、どこかほのぼのとしたメルヘンチックなタイトルからは想像もつかない展開に唖然。
モテない大学教授のガブリエルと女好きでウンチクだけが取り柄のエリアス兄弟は父が死んで、残されたビデオレターを発見する。
しかし、そこには驚くべき内容が隠されていた。
兄弟の生物学上の父親は別にいて、それぞれの母も違うことを知らされ、二人は実の父親探しを始める。やがて父のオンボロ屋敷で出会ったのは、他の3人の異母兄弟たちであった。
この異母兄弟たちに共通するのは、先天性の異常が見られることと、誰も実の母親を知らないこと。
加えて屋敷の部屋に沢山の家畜が飼育されているのも謎の一つ。
登場人物の名前が聖書から取られているように、
聖書の知識がないとピンと来ない点があるかも。とりわけ創世記の<イサクの燔祭>にまつわる下り。
ブラックコメディのようなタッチだが、父の屋敷に隠された秘密が大きなミステリーとなっている。
父の屋敷がある島は過疎化と高齢が進んでいて、このままでは存続が危うい状況。
それが悲劇が表ざたにならなかった一つの要因であるし、現在の先進国が抱える問題ともつながっているのではないか。
研究者だった
父のとんでもない研究内容とそれらが結び付く瞬間に「なるほど」と思わせるのだが、命をめぐる葛藤や尊厳といった哲学的なテーマも顔をのぞかせる。
マッツ・ミケルセン(『偽りなき者』)はじめ、ニコライ・リー・コス(『特捜部Q』シリーズ)、デヴィット・デンシック(『裏切りのサーカス』)、ソーレン・マリン(『シージャック』)、ニコラス・ブロ(『恋に落ちる確率』)といった北欧の個性的実力派俳優たちが顔をそろえるのも見応えある。
奇妙奇天烈な兄弟たちだが、どこか愛おしい気持ちにさせられる不思議な作品。
12日の夜にもう一度上映があるけど、かなり込みそう…。(前売りは完売。当日券は30枚くらい出るかな?)
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