『Dope』
日本では公開は難しそうな映画だが、これが中々の青春映画。
差別には様々あるし先入観の押し付けも迷惑な話だが、そこを逆手に取った着眼点は面白い。
タイトルの
Dopeとは<違法薬物、間抜け、素晴らしい>というような意味があるらしい。
90年代の音楽に憧れてパンクバンドを結成してる黒人学生3人組。
バンド名をお菓子の<オレオ>から頂いているのは表面は黒(人)でも中は白(人の音楽)という比喩だろう。
学校の成績は優秀だがオタクでいじめられっ子である彼らが、ふとしたことから犯罪に巻き込まれてしまうところから運命の歯車が狂う。
ヤクの売人とうっかり知り合いになり、不可抗力でそれを売りさばく羽目になる。
一番やりたくなかった人生をしなければならなくなった時にどう対処するのか。
彼らの住むロサンゼルスのイングルウッドは治安がとても悪く、貧困層が多い地域。
そのために周囲にはガラの悪い連中ばかりが住む。
この街で黒人が底辺の生活から抜け出すにはヒップホップなどのブラック・ミュージックで一発当てるか、バスケなどのスポーツ選手になるか、もしくはギャングにでもなるしかない。
進学するにも黒人らしい学校を求められる。
<黒人少年の描く夢はこうであるべき>はまたステレオタイプ。
人種差別問題は珍しくないが、逆差別もまた差別ではという問いかけには説得力がある。
自転車で登校しているのも、一つには貧困層の表れだと思うが、一方では自立している(自分でこぐ)ことの証明でもあるのだろう。
キャストが普段見慣れない俳優たちばかりなのでリアルに感じる。
少し上手くいきすぎる点が気にならなくもないが、体制に楯突くためにオレオが演奏するのはパンクでなければならないのだろう。
最後の問いかけシーンがユニーク。これも“決まり事”ではない演出か。
夢への道のりは例外なく自由であるべき。
進学問題や恋の悩みを交えた甘酸っぱい青春映画には誰もが共感できるのでは…。
(香港盤DVDに日本語付き)
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