第28回東京国際映画祭

『コスモス』(ワールド・フォーカス)
抽象的で難解なので、見た後で誰かと語りたくなるに違いない。
もっともいくら語っても答えは出ないかも。(笑)
ともかく全部が変である。
雀の死骸、コスモスという題名、ヒステリックで一時停止するヴォイティス夫人、壁のシミなど、一見何の意味があるのか分からない(しかし、何かは感じる)不思議な要素で満たされている。
様々なメタファーに彩られながらも正解にたどり着かないようで、脚本も編集も自由さを感じる。
かつてポーランドで発禁になった原作の映画化で、映画化は不可能と言われた曰くつきの書物らしい。
74歳にもなってこれほど実験的な作品を撮ろうというアンジェイ・ズラウスキ監督の“若さ”に感服。
ロカルノ国際映画祭で監督賞受賞。
監督…は来なくて、ヴィトルド役のジョナサン・ジュネがQ&Aに。
難解な作品ゆえ監督の真意を問いただす質問が浴びせられるが、ある程度は想定してきたんだろう。

『ヴィクトリア』(ワールド・フォーカス)
「冒頭の2分間、画面がチカチカします。」という事前の注意アナウンスがあったがクラクラ来たのは、そのストロボショットのせいではない。
故郷スペインのマドリードで夢破れ、新天地としてドイツ・ベルリンに求めた若い女性ヴィクトリアがヤンチャな4人組と仲良くなり、とんでもない犯罪に巻き込まれる。…という深夜から明け方にかけての140分間が手持ちカメラで自由に撮影される。
卓越したワンカット撮影にも感服するが、俳優たちの集中力にも痺れる。
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』みたいな芸術的な撮影ではなく、ドキュメンタリータッチの完全な一発勝負。
何でも聞いた話では3テイク目でOKになったと聞くが、無粋とは承知でNGになった1と2テイクも見てみたい。そう思わせるくらいに魅了された。
ボーイ・ミーツ・ガールのような青春ものに思わせておいて、ピアノのシーンから見事な“転調”をはかる。
人生の再出発に選んだ地には知人はない。だからこそ自分を必要としてくれる<友>には力を分け与えたいという気持ちは分かる。
やり直しのきかない人生と、“一発勝負”というのが内容にも技術面にも表れる。
時間帯の設定が意味を物語っていると思うが、まずは見事な撮影に酔う。
圧巻の140分。
ログインしてコメントを確認・投稿する