『
皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇』
狂ってる…、これが狂気でなくて何が狂気か…。
メキシコ麻薬戦争の恐ろしい実態を映し出したドキュメンタリー。
「手にはAK-47、肩にはバズーカ、邪魔する奴は頭を吹っ飛ばす…」と歌うナルコ・コリードがメキシコ市場でヒットしているというが、その歌詞とメロディ、またギャングがスター扱いを受けていることのギャップにめまいがする。
メキシコの麻薬カルテルは国境を超えたアメリカでの収入が大半らしい。
そのために(資金源を断つため)アメリカではマリファナを合法化したという話さえ聞こえる…。
メキシコ政府が本腰を入れて撲滅運動を始めたが、あまりの犯罪の多さと組織の大きさからいくら取り締まっても減りはしない。
逆に警察官が次々とカルテルの犠牲となって、恐怖心から辞職するものも少なくないという。
一つには、メキシコは安定した仕事が少ない社会ゆえかもしれない。
厳しい条件下では<きれいごと>は通用しない。
映画では二人の男を中心に映し出す。
カルテルのボスに気に入られるナルコ・コリードを歌い、成り上がろうとする歌手エドガー・キンテロと、真面目に働く警察官リチ・ソト。
キンテロの調子のいい生き方を非難するのは簡単だが、かの地で生まれていたら果たしてどうだったかは自信が持てない。
しかし、
あまりに悲惨で目をそむけたくなる映像ばかりのオンパレード…。
むごたらしい死体の数々からレーティングは15歳以上になったのだろうが、平和ボケしている日本人には(大人でも)きついかも知れない。
だが、これがメキシコの現実だ。
報復を恐れて、警察官が覆面をするなんて、これじゃあべこべだ。
出口の見えないメキシコの現実にも希望を捨てようとしない地元愛を持つ警察官の存在がわずかな救いか。ただ、あまりの闇が深すぎて光が届きそうに思えない。
子供を殺害された母親の悲痛な叫びがいつまでも脳裏にこびりつく。
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