『
神々のたそがれ』
去年、イメージフォーラム・フェスティバルで上映された際には『神様はつらい』という題だったが、正式な公開タイトルは『神々のたそがれ』となった。
北欧神話じゃあるまいし(笑)、原題ではGodと単数なのでフェスティバル時の方があっていたと思うのだけど…。(話の内容からも単数の方がふさわしい気がする。)
アレクセイ・ゲルマン監督の前作『フルスタリョフ、車を!』(恥ずかしながら未見)をスコセッシ監督は
「何が何だかわからないが、すごい」作品と評したそうであるが、まさにその通りだと思った。
モノクロ作品で雪景色のファーストカットからただならぬものを感じる。
徹頭徹尾、行っちゃってる幻想的な描写はテリー・ギリアムが嫉妬しそうな世界だと思った。
ストルガツキー兄弟のSF小説『神様はつらい』にインスパイアされた映画だという。
映画に娯楽とか分かり安さとかを求める向きにはオススメできない。
(もっとも何が娯楽で何が分かり安いかは人それぞれだろうが…)
糞尿・ぬかるみ・反吐・はらわた・死体とおよそ美しいとは思えない描写が延々と続き、登場人物はモノに近い存在となる。(スクリーンから匂ってきそうだった。さながら『お客様はつらい』…苦笑)
手持ちカメラによる長回しの多用と寄りの撮影(これが実に効果的)の177分は尋常じゃない。
私を含めゲルマン初心者は映画だけを見ていてもワケが分からないのじゃないだろうか?
筋は簡単なのだと思うが、説明が乏しいからだ。
舞台はルネッサンス直前の中世ソックリの“とある惑星”での話。
地球から渡った男を通して見た世界から、人間の本質的な部分を抉り出す寓話。
ルネッサンスが起きる前の時代はどの程度の文化レベルにあったのか。
野蛮な人間に知性を持たせることの苦労が原作のタイトルになっているし、また人類への警鐘とも取れる。
陰鬱で絶望的な世界だが、これこそが人間なのだろう。
ともかく映像に力がある作品。チェコのロケとロシア内のセットで撮影されたと聞くが、本当に見事なまでの美術は完全主義者を思わせる。
パンフレット、すごいよ。
約100ページの小冊子で、CD-Rつきもある。(単品が1000円でCD-R付が1500円)
パンフの内容がちょっとした監督の研究書になっている。読み応えありそう。
これが遺作なので、こうしてまとめられたのは良かったと思う。
DVDボックスを所有しているので、これを片手にいつか見よう。
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