『
はじまりのうた』
『ONCEダブリンの街角で』のアイルランド人監督ジョン・カーニーによる(またもや)音楽もの。
『ONCE〜』の姉妹編と言っても差支えないような作品。
歌詞の心情を乗せて伝え合う手法も同じ。
ルーザーが再起する定番ストーリーだが、監督のプライドや想いがそこかしこに込められている。
『ONCE〜』がアイルランドから英国に憧れる話であったように、今回は英国から大都会NYへアメリカンドリームを夢見る。
しかし、必ずしも順調にいくとは限らない。
信頼していた相手に裏切られ失意のどん底に落ちるグレタ(キーラ・ナイトレイ)。
(もしかしたらこの辺に監督の体験が潜むのだろうか?)
ともあれアウェーのNYで心が折れた“しがないミュージシャン”は、家庭と仕事がめちゃくちゃになったルーザーの音楽プロデューサー(マーク・ラファロ)と利害が一致。
リスタートする様子に
肥大化し産業化した現代の音楽シーンへの批判が感じられる。
ローテクで手作りのアイディア(パンスト!)で録音していく様子は<原点を忘れるな>という思いが伝わるようだ。
最低限の機材とオーバーダブなしの<生きた>音が人の心を動かすのは当然かもしれない。
(キーラの役が英国出身であり、マークが乗る車が英国車ジャガーなのは偶然ではないだろう。)
どこか『ONCE〜』の製作裏話がヒントになっている箇所もあるのではないか。
名曲は決して古びずに永遠の輝きを放つ意味で使われている曲には納得。
アンチメジャーを思わせるのは、ありがちな結末にしない“寸止めの美学”といったところか。
かわいらしい歌声の
“歌手”キーラ・ナイトレイは思わぬ掘り出し物だったが、“俳優”アダム・レヴィーン(マルーン5)も中々のもの。(もちろん歌唱力は納得の一言)
さすがNYだと思ったのは腕利きのミュージシャンがゴロゴロしていることか。
唯一気に入らないのはキーラがプールに入らない点。(笑)
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