【
未体験ゾーンの映画たち2015】
もう忘れそうなので、まとめて…。
『ランダム 存在の確率』
あるホームパーティーで起きた不思議な出来事。
地球のそばを彗星が通過するときに不思議なスイッチが入るという設定。
人間の心の負の部分をサスペンスタッチで描く。
いわゆる並行世界モノの一つなんだろうが、アイディアが冴える。
低予算ながらほぼ一つの家のセットと数名の会話劇で理屈的な話を作り出すことに成功している。
人は自分が生き残るためなら「どこまで鬼になれる」のか。疑心暗鬼になる心理が巧みに活用される。
(自分の敵が誰なのかといったあたりは興味深い考察)
各人の個性がさりげなく脚本に織り込まれていたり、切り抜けるためのアイディアが面白い。
頭脳系SFと言ってよく、思わず一緒になって考えてしまう。
短編SFのような味わいでゲームっぽさが好きなら一見の価値はあるか。
ただ、数式的な組み合わせや登場パターンなどもう少し理詰めな点が見られても良かった気はする。
『特捜部Q -檻の中の女-』
世界的なベストセラー『特捜部Q』の映画化なんだそうだが、あいにくと未読。
職務で失態をしでかし、閑職に左遷された刑事が未解決事件の整理で偶然真実を発見していくさまを描く。
トリッキーでミステリアスな展開はいかにも推理小説ファン向け。
サブタイトルにあるように女性が監禁される話だが、その様子が生々しい。
監禁装置のアナログっぽさが演出的面白味を見せる。
ただ、“盗人にも三分の理”…じゃないが、犯人にも同情できる正当性は感じられる。
いや、三分どころではないかもしれない、被害を受けたほうにとっては原因が<過失か故意か>は関係ない。
それで人生が狂わされたものにとって誰が正当な責任を負ってくれるのか…。
日本でも他人事ではあるまい。未成年や心神喪失状態などでの犯行は免除されるケースもあるが、被害者にとって納得できるのか?
そういう社会性が奥行きを見せ、単純な善悪で割り切れない味わいになっているのだろう。
脚本、撮影は『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』のスタッフが、監督は『コペンハーゲン/首相の決断』のミケル・ノガールが担当。上記以外にも、同じデンマークの傑作ミステリー・ドラマ『THE KILLING/キリング』の暗めの質感なども共通する印象がある。
明らかにシリーズ化を狙っているな。
『ミスター・スキャンダル』
監督
マイケル・ウィンターボトム。
もうまともな1本立の公開はしてくれないのかな?(笑)
さながら英国版『ラリー・フリント』といった内容か。
『あなたを抱きしめる日まで』のスティーヴ・クーガンを主演に迎え、イギリスのポルノ王ポール・レイモンドの人生を描いたドラマ。
1958年に英国で初めてストリップクラブをオープンさせたという。
「マン・オンリー」といった雑誌は良く知らないが、「ペントハウス」や「プレイボーイ」と同質のものなのだろうか。
そういう時代の背景や変遷は興味深い。
まだ、舞台やクラブでのヌードは解禁になっていなかったのだ。
ポール・レイモンドが時折(『ラストタンゴ・イン・パリ』のマーロン・ブランドなどの)有名人の物まねをするのが面白い。
BGMや衣装などが当時をよく再現していると思う。
ある意味時代の先駆者で、革命児でもあったろうが、その成功の裏でなくした代償は小さくなかったろう。娘を愛するあまりに甘やかしたのが結局は仇となる。
ある程度予想はつくが、こうして急激に成功を収めた人物が辿るありがちな転落人生。
脚本は『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』のマット・グリーンハルシュが手掛けているのでしっかりしている。
キング・オブ・ソーホーとまで言われるようにロンドンのソーホー地区の大半を買占め経済的には大成功を収めたが、何でも金で買えると信じていたあたりの寂しさが晩年の姿と重なるようだった。
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