『
ジミー、野を駆ける伝説』
ケン・ローチはブレない。
常に庶民の視点に立ち、弱き人々の苦悩を描く。
主人公ジミー・グラルトンはアイルランドでは知る人も少なかった活動家らしい。
ろくに資料も残っていない“名もなき英雄”に光を当てようというのはいかにもケン・ローチらしい。
1932年、内戦で疲弊したアイルランドにアメリカから元活動家ジミー・グラルトンが帰国するところから話は始まる。
原題のJimmy's Hall とはジミーが地元民のために建てたホール(集会所)のことだが、その意味するところは明白。
当時は
教会の許可なく<カルチャースクール>を開いてはならなかったというのはかなりの驚き。政治色や宗教色がなくともだ。
アメリカからアイルランドに帰るというのも、大自然の中に身を置くのも<
原点回帰>をうたっているのだろうか。
宗教を否定するつもりはないが、最初に説かれた教えを後の信者たちは遵守しているのか?
往々にして人は権力を持つと手放したくないもの。
己の立場を守るために、都合のいいように歪め利用してはいないのか。
恐怖で人の心を縛り上げることの善悪は子供でも分かること。
貧しく自由が制限されていた1930年代の話を今作る意味はまさにそこにあるのだろう。
形骸化した教会を敵に回しても自由の大切さと人間の尊厳をかけた戦いには少なからず心打たれるものがある。
自分たちの自由を守るために、我々が何をすべきかがストレートに伝わる。
ただ、これがハリウッド映画ならもっと過剰な演出を施したかもしれない。
恋愛モードになりそうな個所や、ラストの顛末もアッサリ…。
余計な味付けは不必要という解釈なんだろうか。
いかなる蛮行を働かれても礼儀正しくお茶を出す母親のちょっとしたユーモラスさが印象に残る。(笑)
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