『
ビッグ・アイズ』
書物でも音楽でも他のなんであれついて回るゴーストライター問題。
表面化されていないだけで身近に色々ありそうだが(苦笑)、映画に取り上げられるのは主に1950年代から60年代に活躍したウォルター・キーン作とされる“ビッグ・アイズ”シリーズの絵。
ファンタジー映画が得意なティム・バートンとしては珍しく実話物。
とはいえ、配色などにバートンらしさは垣間見える。
私ははじめて知ったが、当時のアメリカ(世界中?)ではかなりの人気だったそうだ。
しかし、いかに世間を騙し通せたのか。本来の作者である妻マーガレットは納得していたのか等々の疑問を感じるが、映画はそこを丁寧に描き出す。
(日本の少女漫画の目の大きさはこの絵描きと関係あるのか興味深い。奈良美智は確実に影響受けていそうだよね。)
ひとえに<時代>も関係するのではないか。シングルマザーが生きにくい時代だったからこそ起きえた悲劇かもしれない。
マーガレット一人ならどうとでもなったのかもしれないが、一番は幼い子供のことを考えて…なんだろう。
もっとも、それ以外にも芸術家には繊細な人が多い。
作品を創造する能力と売り込む能力は別物。セールスが苦手で埋もれているケースもあるだろう。
(この辺に監督の想いが隠されているのではないかとも。)
世間ずれしていないマーガレットはウォルターにとってはいいカモだったろうが、とんだイカサマ野郎の化けの皮がはがれる瞬間は中々興味深い。
もう少し<パリの想い出>を掘り下げる描写も見たかったが、脇道だと判断したのか。
ただ何が面白いかといえば、そういう事実関係云々よりも
ウォルター・キーンを演じるクリストフ・ヴァルツのペテン師ぶり。
アカデミー賞などでの受賞スピーチの方が嘘くさいくらいに役柄にハマっている。(笑)
マーガレット役のエイミー・アダムスの健気で弱気な奥様像も奮闘しているが、ヴァルツが美味しいところを持っていく。
裁判のシーンは腹を抱えて大笑い。
話はそれるが、この映画の完成後に長年のパートナー(ヘレナ・ボナム=カーター)と別れたティム・バートン。
どこかでダブらせる想いはあったのだろうか。
いつの日か『ティム・バートン』の伝記映画が作られる…?
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