『
ベツレヘム 哀しみの凶弾』
今なお緊張の解けないイスラエルとパレスチナ。
日常生活で弾丸が飛び交うというのは、現在の日本からは想像もつかない。
イスラエルの諜報部員ラジと過激派組織の指導者イブラヒムを兄に持つパレスチナ人サンフールの奇妙な関係をリアルなサスペンス・アクションで描く。
諜報部員のラジも、おそらくはイブラヒムも<この地に平和を取り戻す>という目的は同じはず。だが“平和”の意味が違う以上、現実の手段は互いを傷つけあうことばかり。
ラジはサンフールを取り込んでスパイ活動させているが、間に挟まれた彼には難しい立場にいる。
その葛藤する姿に問題の根深さや難しさが隠されているようだ。
何度、パレスチナ問題のいわれや関係を読んでも覚えらえれないのだが、劇仕立てだといくらかつかめるような気がする。
テロリストとされるパレスチナサイドとて決して一枚岩ではなく、共通の敵としてイスラエルに楯突いていてもイスラム原理主義組織ハマスとは距離を置く…など、報道映像からは伝わり切らない現地の様子が描かれる。
また、イスラエル諜報機関が強引に民家に踏み入ったりする横暴さにどちらが正しいのかもわからなくなる。
キチンとした教育を受けられずにまともな仕事もない厳しい社会。
出口の見えない現状を打開するためには過激派にでもなるしかないというのは、まんざら説得力がないわけでもない。
犠牲になるのは常に子供をはじめとする弱者…、子供たちに希望がないのは何を示唆するのかは問うまでもない。
結局のところ、
いくらきれいごとを並べても<利用できるものを利用する>というスタンスに変わりなく、真に相手を思いやっていないのではないか。
行き場(生き場)をなくした若者の悲痛な叫びが胸に突き刺さる。
2013年ヴェネツィア国際映画祭 最優秀作品賞受賞
第86回米アカデミー外国語映画賞イスラエル代表作品
たった1週間、しかも1館でレイトオンリー…。(もう終了)
11月にはDVD発売予定。
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